住宅金融支援機構が10割融資で金利を引き上げた意味
2014年2月から、フラットの10割融資が復活しました。
住宅金融支援機構は政府系金融機関であるため、政府の景気対策の度に金利を引き下げたり
10割融資を行ったりしていました。
ただ今回の10割融資が違うのは、融資率9割以下と融資率10割で貸し出し金利に
差を設けたことです。
例えば4月実行の最低金利では、フラット35の金利は以下のようになっています。
融資率9割 年1.12%
融資率10割 年1.56%
今までは融資率9割でも10割でも金利が同じだったため、当然のように自己資金なしの10割融資が
利用されてきました。
しかし今回金利差で常に0.44%高く設定することで、フラット35利用者に10割融資を思いとどまらせ
頭金を少しでも用意して欲しいという住宅金融支援機構からのメッセージが伝わります。
何故このように金利差を設けたのか、これは過去の公庫融資の時代から頭金無しの10割融資は
延滞や不良債権になるリスクが圧倒的に高いという現実でした。
そして不良債権になってしまった損失は、最終的には税金で処理されるのです。
住宅金融支援機構の意図を理解しない代理店金融機関
しかし今回の措置も、代理店金融機関の悪知恵であっさりと破られてしまいました。
フラットの利用を9割にし、足りない1割は代理店金融機関の変動金利で賄う算段です。
代理店金融機関にとっては、フラット利用者が延滞しようが不良債権になろうが、
損失は住宅金融支援機構が被るので関係ありません。
ただし行き過ぎた融資は住宅金融支援機構から指導が入り、代理店金融機関での債務者
管理が大変になるというリスクはあります。
また代理店金融機関の抵当権は第2順位になるので、延滞や不良債権化した場合に代理店
金融機関の1割融資は回収不可の可能性も高くなります。
それでも代理店金融機関が欲しいのは、融資実績に応じた住宅金融支援機構からの
融資手数料なのです。
今回、このような形で住宅金融支援機構からのメッセージが適切に届かなかったのが
残念でなりません。
これを読んで頂いた皆様には、10割融資の危険性を認識して頂けたらと思います。