借り換えは新規開拓可能で延滞リスク小さい
日銀のマイナス金利政策により住宅ローン金利が過去最低水準を更新する中、新規需要以上に
盛り上がっているのが借り換え需要です。
例えばフラット35の利率は大雑把に言えば、20年前が3%、10年前が2%、そして現在は1%です。
銀行の変動金利にしても、5年前まで最優遇金利で1%だったのが、今の最優遇金利は0.5%です。
つまり、ほとんどの債務者が借り換えることで有利になるのです。
日銀としては、マイナス金利政策で新規需要を盛り上げたかったのが本音のようですが、
日本経済はそこまで好調ではありません。
こうして新規需要の優良顧客争奪戦が金融機関同士で過熱する中、借り換えに関しては
低い利率を提示しておけば、債務者から相談に来てくれる状況が続いています。
しかし、金融機関同士の金利優遇競争が過熱しすぎて、住宅ローンでの利ざやはほとんどありません。
ではなぜ、金融機関は借り換えにも力を入れるのでしょうか。
ここで金融機関側の立場に立った特、借り換えに来る債務者は他行で借入をしている債務者です。
「家計のメイン化」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、住宅ローンを
自分達の金融機関で貸し出すことが出来れば、給与振込や年金受取、その他のローンの獲得に繋がる
確率が大きく向上します。
また、今まで他の金融機関で一定期間の返済実績があることも借り換えの条件ですので、新規顧客を
審査するよりも審査時間が大幅に短縮でき、なおかつ延滞リスクも小さくて済みます。
さらにここ数年広がった、定率制の借り換え手数料の存在も見逃せません。
最近は最優遇金利で融資を受けるには、定率制で2.16%(税込)程度の借り換え手数料を
支払うことが常識になりつつあります。
これは金融機関にとっては大きな収益源で、例えば3,000万円を借り換えた場合、
借り換え手数料だけで648,000円もの収入になります。
これに司法書士報酬などを足し合わせると、金融機関に支払う金額は100万円近くになり、
利ざやの減少を賄うことが出来るのです。
ただし、タイミングによっては繰上返済の方が有利な場合もあり、その辺りはしっかりと
見極める必要があります。