証券化が可能にしたフラットからフラットへの借り換え
日銀のマイナス金利政策で長期固定金利が異常な水準まで低下しています。
私も長年この業界に携わっていますが、フラット35の最低金利が1%台というのは
信じられない水準です。
そして当然ながら、フラットへの借り換え需要が発生するのですが、良く聞かれる質問があります。
「フラットからフラットへは借り換え出来るのでしょうか」
過去のフラット35の水準は最低金利が3%台でしたから、これを現在の1%台に借り換え出来るとすると
貸し手の住宅金融支援機構が損失を被るため不可能にも感じます。
しかし、フラットからフラットへの借り換えは出来るのです。
これはフラットが証券化という仕組みを採用しているから可能なのですが、証券化についての詳細は
私の過去のコラム「住宅ローンの証券化とは何なのか」をご覧下さい。
ここでは簡単に借り換え出来る理由を解説します。
仮に住宅金融支援機構がフラットを証券化せず、そのまま融資として抱えていた場合、
フラットからフラットへの借り換えは出来ないものと考えられます。
何故なら、これを認めてしまうと住宅金融支援機構が実質的な損失を抱えることになるからです。
金利3%で回収できた融資の、金利1%での借り換えをわざわざ認めることは利害関係人にも損失を及ぼすからです。
しかし住宅金融支援機構はフラットを証券化し、国債と同じように生命保険会社などの機関投資家に販売しています。
そして証券化におけるルールでは、繰上償還のリスクは機関投資家が負う仕組みとなっています。
つまりフラット同士で借り換えを行うことは、フラットを1度繰上償還し、再度フラットを借りることに他なりません。
ここで繰上償還されたリスクを背負うのは機関投資家であるため、借り換えが出来るのです。
機関投資家側はこのリスクを受入れた上で、国債より利回りの高い住宅金融支援機構の債券を買っているのです。
こう考えると機関投資家には気の毒ですが、個人にはチャンスです。
今後長期固定金利の上昇が予想される中、フラットへの借り換えは早めの決断をお勧めします。