50年返済の住宅ローンが登場
住宅の高耐久化や既存住宅を出来るだけストック利用する政府の方針などもあり、
50年返済の住宅ローンが数年前から登場しています。
民間が提供する50年返済の住宅ローンは、単に返済期間を50年に伸ばしただけなので、
完済時年齢80歳から逆算すると、申し込みできるのは30歳までということになります。
ただし、50年返済という期間に抵抗がある顧客も多く、普及しているとは言い難い
状況です。
一方で、長期固定金利型住宅ローンを提供する住宅金融支援機構が、数年前から
フラット50という商品を提供しています。
これも文字通り返済期間が最長50年まで伸びるものですが、まず住宅が長期優良住宅で
あることが大前提になります。
また返済期間も民間と同様、完済時年齢80歳から逆算するので実際に50年返済が利用
出来るのは30歳までとなります。(親子リレー返済利用の場合を除く)
また、本人の年齢条件として44歳未満とも定められており、43歳でフラット50を利用しても
実際の返済期間は37年ということになります。(80-43=37)
50年返済に合わせた制度設計のフラット50
ただし、フラット50は面白い仕組みを採用しています。それは、50年返済の途中で住宅を
購入者に売却した場合、当初の顧客が利用していた住宅ローンをそのまま利用できるという
仕組みです。
これは、住宅を長期利用する海外では一般的で「債務承継型住宅ローン」(アシューマプルローン)
と呼ばれています。
例えば、30年後に売却しようとした時に金利が上昇していた場合、通常はその金利で
住宅ローンを組み直さなければなりません。
しかし、「債務承継型住宅ローン」を利用すれば、現在の低金利がそのまま利用出来るため、
購入者に住宅購入のインセンティブが働きやすく、住宅を購入者がそのまま利用してくれる
ことで住宅ストックの活用も計れます。
また、当初の顧客は住宅ローンの支払いを購入者に承継することになるので、
当初の顧客は住宅ローンの支払いから解放されます。
このような制度が整ったフラット50は、長期返済を視野に入れる顧客には最適な商品と言え、
今後の普及が期待されます。