住宅ローン借り換え事情、金融機関も借入者も積極的に
日銀のマイナス金利政策により長期金利が急低下し、長期金利を指標とする住宅ローンの全期間固定金利の利率も過去最低水準を更新しました。
例えば、全期間固定金利の代表的な商品である「フラット35」の利率は、現在も1%台で推移しており、この水準は正直考えられないほどの低さです。
ここまで住宅ローン金利が低下したため、過去に今より高い金利で借りた借入者がより低い金利に借り換える、借り換え需要が盛んになっています。
借り換えの判断材料として、残りの返済期間が10年以上で残債が1,000万円以上、借り換えの金利差が1%などと言われてきました。
しかし、既に数年前の借入者で金利差が1%程度、それより前になると金利差が2%程度に達する事例が多く、借り換えメリットが目立つようになりました。
金融機関側も、借り換えの顧客は今までの返済実績があることから延滞などのリスクが少なく、また借り換え諸費用などの手数料収入が見込めることから、借り換えに力を入れています。
借り換え諸費用も含めたトータル金額で判断を
このようにメリットが目立つ借り換えですが、注意したいのが借り換え手数料の存在です。現在は、利率を低くする代わりに定率制の手数料となる金融機関が多くなっています。
例えば、3,000万円借り換えた場合、金利は確かに現在の1%台の金利に下がりますが、2%(税抜)の借り換え手数料が借り換え金額にかかってくるため、この場合は借り換え手数料だけで60万円を現金で支払う必要があります。
また、抵当権と呼ばれる担保保全のための登記も借り換え先に移す必要があり、司法書士報酬と合わせると50万円程度かかります。
両方の金額を合算すると、100万円を超えることも珍しくなく、まずはこれらの金額を現金で用意する必要があります。
なお、最近はこれらの諸費用も合わせて融資してくれる金融機関もありますが、その場合は借り換え後の方が、残債が多くなることを認識しておくことが必要です。
最終的には、借り換え前の総支払額と借り換え後の諸費用も含めた総支払額を比較し、借り換え後の方が少なければ借り換えは成功と言える訳ですが、諸費用分も合算すると、あまり差が開かない事例もあるようです。
借り換えに当たっては、まずは総支払額を比較し、借り換えに手間暇をかけるメリットが本当にあるのか、十分吟味する必要があります。