遅延損害金とは?
オフィスの賃料を滞納すると、遅延利息を請求されることがあります。賃借人が賃料の支払いを怠った場合、賃貸人は賃借人に対し、本来の債務の履行だけでなく、損害賠償を求めることができます。この損害賠償金のことを遅延損害金と言います。
契約時の遅延損害金の設定
損害賠償である以上、遅延損害金とは、賃借人による債務不履行が原因で発生した損害を賠償するものということになりますが、実際のところ、生じた損害を金銭に換算するのはとても困難です。裁判で争うようなことになると、費用や手間がかかり、双方にとって不利益となります。そのため、契約する際、あらかじめ債務不履行が生じた場合の損害額を設定してよいことになっています。その場合は、もし賃料を支払わないなど債務不履行があった場合、損害の規模・程度に関係なく、あらかじめ設定された額の損害賠償を支払わなくてはなりません。
遅延損害金の利率について
契約時に設定する遅延損害金利率のことを約定利率といいますが、これが適用されるのは利息制限法の範囲内であることが条件となります。法外な利率であれば、無効と判断されることもあります。また約定利率が決められていない場合は、法律が定める法定利率が適用され、賃料などの金銭債務の場合は年5%の利率となります。
遅延損害金を支払わなかったら?
もしも遅延損害金が請求されたにもかかわらず、それに応じなかった場合はどうなるのでしょうか。実のところ、賠償金を支払わない場合でも、刑法には抵触せず、逮捕や投獄の対象とはなりません。ただし、債務自体が消えることはありませんから、万が一、賃貸人が裁判を起こし、その結果債務履行の判決が下されれば、強制執行される可能性はあります。その場合は、銀行預金や自動車や貴金属など自宅内外にある動産および不動産が差し押さえられることは十分に考えられるでしょう。あとで問題にならないためにも、契約時に約定利率が設定されているかどうかを含め、遅延損害金についてしっかり理解しておくと良いでしょう。