前回のコラムでは、個人事業を法人化した際の、主に税務上のメリットにつきご説明しました。
今回も引き続き、メリットとデメリットを、ご説明したいと思います。
まずはメリットのうち、税務に直接関わらない部分でのメリットです。
〈メリット〉
④プライベートと仕事の切り離し
個人事業主ですと、どうしても仕事で使うお金とプライベートで使うお金が混在してしまいがちです。
法人の場合には、法人の利益は法人の銀行口座に入れ、法人の経費は法人のカードで切り、法人で使う車は法人名義で買う、など、個人と法人を分けやすくなり、経理上も処理がしやすくなります。
⑤信用力UP
一般的に、個人事業主よりも法人の方が信用力が高かったり、法人相手じゃないと取引をしないという企業もあります(不動産賃貸業では特に関係ないですが)。
また、個人事業主の◯◯です、よりも、株式会社◯◯の代表取締役です、と言った方が響きが良い、というようなメリットもあるかと思います。
〈デメリット〉
①設立費用
デメリット、と言えるかわかりませんが、法人を設立する際には一定の費用がかかります。
株式会社の場合、登録免許税などの実費と、依頼する司法書士さんの報酬等で30万円くらいは初期費用としてかかります。
②住民税均等割
法人の場合、もし利益が出ていなくても、均等割という最低限の税金がかかります。
均等割は資本金の額により変動しますが、最低で年間7万円は課税されます。
③税理士費用
個人事業の場合、ご自身で確定申告をされている方も多くいらっしゃると思います。
中には法人の申告もご自身でされる方もいらっしゃいますが、一般的には、法人の場合には個人の申告よりも複雑となるため、税理士に決算を依頼されるケースが多いと思います。
税理士の報酬としても、個人よりも法人の方が高いのが一般的であり、法人化することで支払う報酬額は増えることとなります。
④不動産の移転費用
ただ法人を作っただけでは意味がなく、税務上のメリットを、受けるためには個人に入ってきていた収入を法人に付け替える必要があり、そのためには個人が所有している不動産を法人に売却するなどして名義を変える必要があります。
その際に移転に伴う税金がかかります。(この点は次回のコラムでもう少し詳しく記します)
〈まとめ〉
不動産賃貸による収入が多く、多額の所得税を払っている方が節税を考える場合には、法人化というのは一つの有効な選択肢になるでしょう。
ただし、法人化に伴い様々なコストがかかるため、それを上回るメリットがあるかどうか、検証する必要があります。
次回のコラムでは、法人化にあたっての具体的な手法とコストにつき書きたいと思います。