確定申告時期が終わり、ようやく弊社も通常営業に戻ってまいりました。

まだ寒い日が続きますが、桜の開花宣言も出て、ウキウキする季節となってきましたね。

さて、今年の確定申告においても不動産賃貸を行なっている方の不動産所得の申告を多数ご依頼いただきましたが、不動産収入が多く、所得税の負担が重い場合には、事業の法人化を検討される方もいらっしゃいます。

今回から数回のコラムで、事業を法人化した場合のメリット、デメリットについて書きたいと思います。

〈メリット〉

不動産賃貸業に限らず、一般的に法人化をするメリットとしては、下記のようなことが挙げられます。

①個人と法人の税率の差

個人の場合には、不動産所得の他給与所得や事業所得などと合算された上で、超過累進税率(金額が大きくなるほど税率が上がる仕組み)により所得税が課税されます。

現在の最高税率は45%となっており、その他、住民税が一律10%課税されるため、所得税と住民税で、最高55%もの税金が取られることとなります。

一方、法人の場合には、所得が400万や800万を境に税率が変わりますが、最高で実効税率としては30%ちょっととなっており、所得が高い場合には法人税の方が有利となります。

近年の税制改正では、法人税をさらに下げる方向の動きとなっていますので、この差はますます広がる可能性があります。

②所得の分散と給与所得控除

個人事業主の場合には、自分に入ってきた収入は全て自分の所得となり、課税の対象となります。

個人事業主の場合、基本的には同居している家族などにはお給料は払えません。(青色申告で、一定の手続きをした場合を除く)

一方、法人の場合には会社に入ってきた収入から、自分や自分の家族がお給料をもらうことができます。(お給料に見合う仕事をしていることが前提となります)

上記の通り、所得税は金額が大きくなるほど税率が上がるため、同じ収入でも自分1人に集中するよりも、家族に分散できた方が税率が下がり、家族トータルでの税負担は軽くなります。

また、給与所得の場合、給与所得控除という概算の経費が引けるため、個人事業として所得を得るよりも有利になります。

③退職金の支払い

個人事業の場合、自分に退職金を支払うということはできません。

一方、法人の場合、自分は引退して子供に賃貸経営を任せるような場合には、自分に対して退職金を支払うことを検討できます。

退職金は、退職所得として所得税、住民税が課税されますが、他の所得に比べ非常に優遇されており、税負担少なく多額のお金を受け取ることが可能となります。

(つづく)

 
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