前回のコラムで、不動産を売却した際の税金につきご説明しました。
今回から数回にわたり、不動産売却に絡む、税務上の特例につき、ご紹介したいと思います。
<1>マイホームの売却に係る3,000万円控除
ご自宅を売却した場合には、譲渡所得の計算上、その儲けから3,000万円を控除することができる規定が設けられています。
ご自宅を手放した後には、当然、次に家を購入したり、賃貸で暮らしたり、とお金がかかることが想定されます。
そのため、ご自宅売却時にあまり高い税金を取ると、その後の生活に支障が出る可能性があるので、税金を安くしてくれる、ということです。
この特例は、ご自宅の所有期間に関係なく受けることができます。
ただし、この特例を受けるためだけに一時的に住んだだけ、と認められる場合など、不当に税の優遇を受けようとする場合には適用が受けられなくなりますので、注意が必要です。
ご自身で購入されたご自宅の場合、買った時よりも3,000万円以上高く売れる、ということは稀でしょうから、この特例の適用を受ければ、ほぼ税金はかかりません。
元々ご相続で取得されたご自宅などの場合には、購入時の価格が不明なため、多額の譲渡益が計算される可能性がありますが、この特例を使うことにより、税負担を大きく減らすことが可能となります。
この特例を受けるためには確定申告が必要です。
儲けが3,000万円以下だから申告をしなくて良い、ということではなく、様々な添付書類と共に申告書を提出して、この特例の適用を受けることを選択して初めて適用が受けられることとなりますので、ご注意ください。
また、もう一つ注意点としては、この特例は住宅ローン控除と併用できない、という点があります。
ご自宅を売却して、その後、住宅ローンを組んで新しいご自宅を購入される場合には、
①売却時に3,000万円控除を使用して譲渡に係る税金を軽減するか、
②売却時の税金はそのまま支払い、新しいご自宅購入に関して住宅ローン控除の適用を受けるか、
を選択する必要があります。
ご自宅の売却についていくらの儲けが出ているか、また、新しい住宅購入のためにいくらのローンを組むか、等、諸条件によりどちらが得かは変わるため、このようなケースでは、シミュレーションを行い、なるべくお得になるように特例の適用を受けるようにしましょう。