前回に続き、税制改正のお話になります。
平成29年度の税制改正で、相続税の「広大地」評価の見直しが検討されています。
相続税の評価上、土地は相続税の「路線価」を使用し、基本的には路線価×面積で評価されます。
(例)
路線価が100,000円/㎡、面積が200㎡であれば100,000円×200㎡=20,000,000円
それでは、面積が広ければ広いほど価値が高くなるのかと言えば、そうではありません。
通常、広すぎる土地はそのまま単独では使い勝手が悪く、宅地分譲して売却する等を想定すると、開発道路を入れるなど、公共公益的施設用地の負担というものが生じます。
そのため、相続税の評価上も「広大地」という規定を設け、一定の基準以上の面積で、かつ、開発行為を行う場合には公共公益的施設用地の負担が生ずるもの、そしてマンションなどの敷地に適していないもの(つまり、戸建ての宅地分譲が最有効利用だと思われる土地)については、「広大地補正率」を乗じて、最大で65%の評価減が取れるようになっています。
現状では、この広大地の要件を満たす場合には、面積に応じて評価減が取れることとされています。
(「広大地補正率」の算式)
0.6-0.05×土地の面積(上限5,000㎡)/1,000㎡
※ 土地が4,000㎡だとすると、0.6-0.05×4,000/1,000=0.4 ∴60%の減額
今回の改正では、単純に面積に比例させるのではなく、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価することとされています。
また、適用要件がこれまでよりも明確化されることとなっています。
これまでは、最大65%も評価が下がるわけですから、広い土地がある場合には、とにかく広大地評価を適用することを優先する、ということが相続税の節税を考える上では重要視されてきました。
今後は、もしかするとこれまでよりも減額が取れなくなってしまう方が出てくることが予想されます。
場合によっては、事前に土地を有効活用して別の相続税対策を検討したり、広い土地の一部を事前に売却して納税資金を作るなどすることも必要となってくるでしょう。
広い土地をお持ちの方は、この広大地評価の見直しの行方にご注目ください。