平成28年12月8日、平成29年度税制改正大綱が公表されました。
その中で、固定資産税・都市計画税の改正点として、「居住用超高層建築物に係る課税の見直し」という項目があります。
これはいわゆる「タワーマンション」に係る固定資産税等の見直しをしましょうという改正です。
現状、マンションにおいては、階層は関係なく、床面積に応じて税金が課税されています。
そのため、1階と40階でも、床面積が同じであれば同じ税額が課税されます。
しかし、実際の市場価値としては、当然、低層階と高層階では価値が大きく違うのが一般的で、市場価格と固定資産税価格とに大きなかい離が生じてしまっています。
購入価格は1階は3,000万円、最上階は1億円、だとしても、固定資産税の価格は同じ、ということになってしまっているわけです。
相続税を評価する際、建物は固定資産税評価額で評価されます。
そのため、この固定資産税の価格の不公平さがそのまま相続税の方にも影響し、富裕層の節税策としてタワーマンションの高層階を購入するということが行われてきました。
今回、その行き過ぎた節税策にもメスが入った形となります。
具体的には、高さ60mを超えるタワーマンションにつき、固定資産税の額を1つ階が上がるごとに約0.256%ずつ増額していくということになっています。
40階であれば1階に比べ約10%の増額ということになります。
市場価格に比べると、それほど大きい差を設けているようには感じませんが、毎年毎年かかる固定資産税の増額と考えると、高層階を購入される方にとってはそれなりの負担増が予想されます。
この改正は、平成30年度から新たに課税されることとなるタワーマンションにつき適用されることとされています。
(平成29年4月1日前に売買契約が締結されたものは除く)
今後新たに建築されるタワーマンションについては、これまでよりも固定資産税や相続税の負担が増えることとなるため、タワーマンションを活用した節税を考える場合には、中古マンションの需要が高まってくることが予想されます。
節税と税制改正はイタチごっこのような関係にあり、何事も、あまり行き過ぎると規制が入ってしまいます。
不動産投資をされる場合には、毎年の税制改正の行方も注目しながら対策を行うことが重要でしょう。