親が亡くなり、空き家となった実家を相続することがあります。
この空き家の活用方法としては、①住む、②貸す、③売る、のいずれかになります。
【①住む】
相続した子供が実家に戻る意思があれば、「住む」、を選択することとなりますが、多くの場合、子供は既に自分自身の家を持っています。
また、仮に持ち家がなくても、職場との距離、子供の学校との距離、周辺環境等から、実家に戻って暮らすというのは難しいケースが多く、様々な条件が上手く合わないと「住む」、のは難しいでしょう。
【②貸す】
自分で住むには不便でも、場所が良ければ、他人に「貸す」、という選択肢があります。
ただし、親が住んでいた実家は古く、そのままでは人に貸せないケースが多いため、建替えや大規模なリフォームが必要となり、資金的な面から躊躇してしまうことが多いと考えられます。
【③売る】
そうなると後は「売る」、ということになりますが、この場合には、売った際の税金について考えておく必要があります。
不動産を売却した際には、その儲けに対して所得税・住民税がかかります。
ここで言う「儲け」とは、『売った金額-元々買った金額-売るのにかかった経費』という算式で計算されます。
例えば、元々1,000万円で買った不動産を1,500万円で売却し、仲介手数料等の費用が100万かかったとすると、1,500万-1,000万-100万=400万円が儲け、ということになります。
買った時の金額がわかれば良いのですが、相続で取得した不動産の場合は、買ったのはもう何十年以上も前で、買った時の資料が全く無い、というケースが多くあります。
その場合、売った金額がほぼ丸々儲けとなってしまうため、売却金額にかかる税金が重くなってしまいます。
<空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例>
平成28年度の税制改正により、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されました。
これは、大まかに言うと、相続した旧耐震基準の家屋を耐震改修して売却するか、解体して更地にして売却した場合、「儲け」の計算上3,000万円を控除できる、というものです。
5年以上所有していた不動産の場合、売却の儲けにかかる税金は20.315%ですので、この特例を活用することにより、最大で609万円の税金が安くなる(3,000万円×20.315%)ことになります。
税金が高くなりがちな、相続不動産の売却において大きなメリットとなります。
近年、「空き家問題」がメディアで取り上げられることが増えてきました。
国としても危険な空き家が増えることを懸念しており、きちんと耐震改修したり、解体して消滅させるなど、空き家を減らす行為に対しては税金上のメリットが与えられることとなりました。
空き家の解体等に補助金が出る市区町村も数多くありますので、あわせて検討していただけると、負担少なく空き家を処分することができるでしょう。