こんにちは。不動産法務サポートオフィス行政書士事務所の中沢です。

4月1日に改正宅地建物取引業法が施行され、以下の点が変更となりました。

(1)媒介契約における依頼者への報告
(2)営業保証金制度等の改正
(3)買主が宅地建物取引業者である場合の重要事項説明
(4)宅地建物取引士等に対する研修の充実
(5)従業者名簿の記載事項の変更

今回は(1)の「媒介契約における依頼者への報告」について取り上げたいと思います。

宅地建物取引業法第34条の2第8項

媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。

ところで依頼者への報告が必要となる「申込み」とはどのようなものでしょうか。
この点、国土交通省は以下の見解を示しています。

「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第34条の2関係3(3)①ロ

売買又は交換の申込みがあったときの報告について
購入申込書等の売買又は交換の意思が明確に示された文書による申込みがあったときは、依頼者に対して遅滞なく、その旨を報告することとする。
依頼者の希望条件を満たさない申込みの場合等であっても、その都度報告する必要がある。

今回の改正は、媒介契約を締結した宅地建物取引業者に対し、申込があったときは依頼者に遅滞なく報告することを義務付けるものです。

しかし、依頼者に対して状況の報告をするというのは、ごく当たり前のことです。

そんな当たり前のことを何故わざわざ法改正してまで定めることになったのかというと、そこには旧態依然とした不動産業界の体質があるからです。

不動産業界では、物件の売却の依頼を受けた不動産会社が、他社からの問い合わせに対して「既に契約予定となっている」などと偽って紹介を拒むことが横行しておりました。
俗に「囲い込み」と呼ばれる悪弊であり、自社の利益を優先し、顧客である売主に不利益を与えかねない行為です。

このような当然の義務を明文化せざるを得ないということは何とも情けなく、残念な気持ちです。

 
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