2017年の地価公示が発表されました

以前の記事で地価公示の解説をした際に、地価公示は土地の売却価額を設定する際の参考になる旨お伝えしました。そんな地価公示ですが、最新のもの、つまり2017年1月1日時点の地価公示が発表されました。情報そのものについては国土交通省土地鑑定委員会の発表などを見れば把握できますので、各位でよくご確認いただければ良いでしょう。しかし、今回の地価公示にはいくつかの特徴のようなものが表れていました。そこで、2017年1月1日時点の地価公示について、少し分析してみることとします。

地価下げ止まり及び地域差の色濃い内容

今回の地価公示の発表で特筆すべきと感じた点は何と言っても「住宅地の平均地価が下げ止まった」ことです。これは全国の標準地(地価公示において鑑定評価の対象となる土地で、今年は約2万6000箇所)の内、8年連続で下落していた住宅地の平均地価がとうとう下げ止まり、(わずかではありますが)上昇に転じたということです。実にリーマンショック以来の上昇ということで各報道機関を賑わせました。この要因となったのは日銀のマイナス金利政策に端を発する低金利環境と住宅ローン減税などによって、土地取引の活況が下支えされていることにあると分析されます。住宅地においてはこういった政府・日銀施策による影響が色濃いと考えられるため、個人が土地を売るという目線で考えた時に、今は価格の上がり時と捉えることができます。であれば、もう少し待ってからの土地売却の方が利益は大きくなる可能性があります。しかし、物価ベースでの実質賃金が軟調に推移する中、今後の景気、家計支出の動向は見通せないと言ってよい状況です。売り時を逃すことの無いよう、入念な情報収集が推奨されます。

話は変わって、今回の調査では地価の地域差についても顕著な結果となりました。特に地価の値上がりは東京・大阪・愛知(名古屋)の主要都市や札幌・福岡などの地方都市の商業地で抜きん出ており、反面、震災のあった熊本をはじめ人口減少などの負の要素が見られる地方各地では相変わらずの下落傾向となっています。こういった地域差は容易には変化しないと考えられるため、上昇傾向の土地は様子見を、下落傾向の土地は早期の売却を行うべきと言えるかもしれません。

 
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