土地売却価額の参考になる地価公示とは

土地は他の一般的な財産・資産と異なる諸所の特性を有しているため、専門的な知識や経験を持たない者が適切な売却価額の設定を行うことは極めて困難です。個別・特有の事情により価額が変動したにも関わらず、その売却例が同様の性質を持たない他の取引の価額設定に流用される危険性があります。そこで、契約の当事者(売主・買主・仲介業者)のどれにも与しない、客観的で公正な価格を定期的に公示するという制度が設けられました。これを地価公示制度と言い、当該制度を規定する法令を地価公示法と呼びます。この地価公示について知っておくことで、自身が土地を売却する際の価格設定の参考とすることができるため、よくよく確認・理解しておくことをお勧めします。

地価公示の手続きについての解説

地価公示の手続きについては地価公示法の第2条1項に定められています。以下に解説していきます。

地価公示を行うのは地価公示法第12条に定められる土地鑑定委員会(国土交通省内に設置される)で、次に示すような手続きを通じて地価を公示します。

1.都市計画区域及びその他の区域で土地取引が相当程度見込まれる区域で国土交通大臣が定めるもの(公示区域)内に一定数の標準地を選定する。

2.標準地について、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求める。

3.鑑定評価の結果を審査し、必要な調整を行う。

4.一定の基準日(1月1日)における標準地の単位面積(1平方メートル)当たりの正常な価格を判定する。

5.正常な価格を公示する。

なお、上記の「標準地」とは”自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地”から選定されます。ここで言う「一団の土地」とは、同一の利用者によって、一つの利用目的に供されている1区画の土地のことです。このようにして発表される地価公示によって、”標準地の客観的で公正な価額”を知ることができます。そのため、売りたい土地の近くなど、条件の近い標準地の地価公示を参考にすることで買主を説得しやすい価格設定を行うことができると考えられます。

 
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