相続財産に不動産が含まれる場合に

もし、あなたが相続人となった際に、その相続財産に不動産が含まれていた場合は気を付けなければならない点があります。まず相続について見ていきましょう。仮に遺言などが無かった場合には財産分与は基本的に「法定相続分」と呼ばれる割合によって行われることになります。具体的には配偶者(夫・妻)に相続財産の1/2、子どもが居れば残りの1/2(複数人の子どもが居れば、その人数で割る)、もし子どもが居なければ被相続人の直系尊属(父・母など、割合は配偶者が2/3・直系尊属が1/3)・被相続人の兄弟姉妹(割合は配偶者が3/4・兄弟姉妹が1/4)という順で相続する権利が移動していくことになります。ここで問題となるのが相続財産の中身が何か、ということです。相続財産としては貯金・生命保険金・有価証券・不動産などがあります。貯金や生命保険金は金銭ですし、有価証券はすぐに換価することができます。しかし、不動産はすぐに換価することが物理的・心理的に難しい上、時価の算定も容易ではありません。そこで相続財産に不動産があった場合には「貯金・生命保険金・有価証券だけは法定相続分に分配して、不動産だけは相続人の共有にする」という判断が為されることが少なくありません。専門家に相談した場合も処分を保留するという意味でもいったん不動産だけは共有にすることを勧められる場合があります。しかし、この共有という状態は不動産所有のあり方として非常にやっかいなものとなり得ます。できれば避けておいた方が良いでしょう。

なぜ不動産の共有は避けるべきか

法定相続分に従って不動産を共有するとなると、形式としては”法定相続分に応じた持分で共有する”という形になります。例えば配偶者と子ども2人の相続であれば、1/2・1/4・1/4ずつの持分で不動産を共有することになる訳です。一見すると、「ただ法定相続分通りの持分にすれば済むので、簡単で良い」と感じてしまいそうですが、この持分による共有という状態は非常に曲者となります。まず、共有不動産をいざ売却しようとした際には”共有者全員の同意”が必要となります。いくら持分の多い者が強く売却を主張しても、わずかでも持分を有する者が反対するだけで売却は不可能になります。また全員が売却に同意した場合でも、売却して得た利益は単に持分に応じて割り振られるので、持分の多い者と少ない者の間に成果の格差が生まれ、売却活動について「頑張って活動したのに取り分が少ない」だとか「取り分が多いからと全ての活動を押し付けられた」といったトラブルも起こりがちとなります。このように相続する不動産を安易に共有にすることは後のいざこざの元凶となりかねないという側面があります。可能であれば、相続の際の換価を検討した方が良いでしょう。

 
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