不動産鑑定評価基準5 価格の判定の基準日
不動産の鑑定評価に際しては、価格評価の基準日を定める必要があります。不動産というものは日々、時に顕著に状態を変えていくため、鑑定評価がどの時点の不動産に対して行われたかを明確にしておくことが求められるのです。この基準日を価格時点と言います。この価格時点という考え方は賃貸の場合にも用いられ、賃料の算定期間の収益性を反映するものとして、その期間の期首となります。
不動産鑑定評価基準6 求めるべき価格
不動産は利用が多岐にわたるという側面から売買の目的もまた多岐にわたり、そのため諸所の「前提」が付いた売買契約というものが交わされることも多くあります。そういった実際に為されるであろう契約ごとの事情を考慮して売買価格も考えられるべきであるという論理により、鑑定評価によって求めるべき価格は以下の4つがあるとされています。
1.正常価格
現状の社会経済情勢において、合理的な市場において当該不動産が形成するであろう市場価値をして「正常価格」と呼びます。簡潔に言えば、不特定多数の人に公開で売り出しを行い、その期間が一定以上継続するもの、つまり通常の不動産売却の場合の価格のことです。
2.限定価格
1.の正常価格に対して、何らかの理由により売却が行われ得る市場が限定されている場合の当該市場における不動産の価値を「限定価格」と呼びます。例えば、借地権によって土地上に建物を有する者が賃借している土地を購入するなど、一般に不動産を公開して売り出すのではなく、特定の人間(市場)にのみ売却される場合の価格のことです。
3.特定価格
1.の正常価格と同様に相応の市場性を有するものの、法令などの社会的要請が背景にあることをもって、経済的価値が変化する可能性のある場合の不動産の価値を「特定価格」と呼びます。具体的には民事再生法を理由として、早期の売却が求められる場合の価格のことなどを言います。
4.特殊価格
極めて特殊な例として、市場性を有しない不動産を評価する際の価値のことを「特殊価格」と呼びます。例えば、文化財や宗教的建築物の価格などがこれに当てはまります。知識として覚えておきましょう。