売買契約にかかる諸所の条件の意義
売主と買主の合意の下に締結される売買契約においては個人の事情などに基づき様々な法律上の条件を設定することがあります。ここで言う法律上の条件とは、売買などの法律行為を実行するにあたって、特定の事実の発生に伴って当該法律行為の効力が発生または消滅するということを規定するものです。なお、法律では「特定の事実」が将来発生するかどうか確実でない場合を条件、発生する蓋然性が高い場合を期限と呼びます。併せて覚えておくと良いでしょう。
不動産の売買契約における停止条件とは
不動産の売買契約において比較的よく見られる条件に停止条件と呼ばれるものがあります。特定の事実があった場合に、初めてその法律行為(今回は不動産の売買契約)の効力が発生するという条件付けのことを停止条件と称します。特定の事実の発生まで法律行為の効力を停止しているので停止条件です。よく「特定の事実の発生により法律行為の効力が停止するので停止条件」と考えてしまう人が居ますが、正反対の意味ですので間違えないようにしましょう。停止条件の分かりやすい具体例としては、「プロポーズが成功して結婚することになったら、マイホームの購入契約を有効とする」というようなものがあります。
不動産の売買契約における解除条件とは
不動産の売買契約において停止条件よりも尚よく見られる条件に解除条件があります。こちらは読んで字の如く、特定の事実があった場合に法律行為の効力が消滅する(正確には初めから有効でなかったとする)条件付けを解除条件と称します。この解除条件が不動産売買でよく用いられる理由の一つに「ローン特約」があります。ローン特約とは買主がローンの審査を通過できず、ローンが下りなかった場合に契約が解除になるというもので、ローンの利用が一般的な不動産の売買契約において非常に頻繁に用いられています。この特約が無ければ、買主は資金準備が滞った場合の債務不履行リスクを抱えて契約をせざるを得なくなるため、買主を守るための特約とも言うことができます。しかし、売却する側としてもローン特約があるからこそ売買契約の締結に至ることができるという面があることを十分に理解して、ローン特約の設定を無碍に断ることの無いよう心掛けるようにしましょう。