法定相続分どおりに登記すればいいの?!

亡くなった人が名義人の不動産。名義変更の相続登記をしたいのだけど、いったい誰名義にするのが適当なの?!このような相談はよく受けます。例えば、亡くなった人に奥さん、子供2人がいた場合、民法で決められた法定相続分は、奥さん2分の1、子供は4分の1ずつです。でも、実際は法定相続分どおり相続登記する人はそんなに多くはありません。

相続人共有名義となった不動産。何がリスク?

法定相続分どおり相続登記する人が多くないのは何故か?!ズバリ、不動産の名義が共有名義になるといろいろと面倒だからです。例えば、一人の相続人が不動産を売却したいと考えていても、他の相続人がそれを拒否した場合、不動産を売却することは困難となります。他には、誰が固定資産税を払うのか、メンテナンスにかかった費用をどう精算するのか・・・。更には、共有名義となった相続人に更に相続が発生すると、名義人がどんどん増えていってしまう・・・。など共有としてしまったが故に厄介な問題が発生する可能性があるのです。

「とりあえず、お母さん名義でいいよね」の危険

では、単独所有にするなら、名義は誰にしても同じなのでしょうか?当然、相続税などを考慮して誰を名義人にするかを考えることは必要ですが、意外と盲点なのが名義人になった人の将来のリスクです。どういうことかというと、よくあるのが亡くなった人の奥さんが単独相続するケース。お亡くなりになった人が高齢の場合、当然奥さんも結構高齢なわけです。子供たちは今回の相続ではお母さん単独所有で問題ないと合意に至り、その通り登記されました。しかし、数年後に金銭面の問題からその不動産を売却したいとなった際、お母さんが認知症になってしまっていた。さて、不動産は認知症になってしまったお母さん単独で売却できるのか?答えはNOです。認知症のレベルにもよりますが、不動産の売買等の法律行為は本人の意思能力があることが前提です。認知症になってしまったということは、本人に法律行為をする能力が欠けているということになる可能性が非常に高いのです。また、認知症ではなく意思能力に問題がなくても、ご高齢の方にとっては不動産の売買手続き自体が非常に負担になる可能性もあります。

将来の事は誰にも分からない

将来の事は誰にも分からないので、そこまで考えなくても・・・。そんな声も聞こえてきそうですが、実際このような例もありますので、将来売却をする可能性が0ではないのであれば、誰を名義人にするかは色々検討して決めたほうが良さそうですね。

 
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