共有名義は何の解決にもならないと考えていますが、かといって共有名義にすることが全て悪いわけではなく、今はあえて共有名義にしておくこともあります。
とある相続案件でのこと。
父と既婚の息子1/2共有名義の土地で息子が亡くなるという相続がありました。
相続人は配偶者と成人前の子供2人。
土地名義は配偶者と親(義父)の共有にしようとしたのですが果たしてそれで本当に良いのか?と考えました。
相続税がそれなりにかかるお宅だっだことと、配偶者の健康状態がちょっと心配でした。
もしかすると義父よりも先に亡くなる心配がある状態です。
したがってこの場合には二次相続のことも視野に入れた提案が必要になります。
配偶者のいる一次相続では相続税の配偶者控除が使えることから相続税負担は抑えられます。
今回も当然そのケースに当てはまり、いまは現預金も多くあるので多少相続税を多く払ったとしても余裕のある状態です。
そのことからこの土地の名義は息子さんの持分1/2を法定相続分にして配偶者・子2人とし、義父の持分はそのまま1/2にする4人での共有名義としました。
そして義父の遺言で土地の持分は子2人(義父からみれば孫)に遺贈するようにしておきます。
そうすると配偶者と義父どちらが亡くなっても最終的には子2人に名義がまとまるようになります。
ただし、これで全てが解決したことにはなりません。
何十年先かは分かりませんが子2人がそれぞれの持分をどうするかですね。
いつまでも共有名義のままでいて持主の片方が亡くなるとそこで相続が発生してくる、さらにもう片方も亡くなるとそこでも相続が発生してくる。
そのまま放っておくと相続人は徐々に増えていくことになります。
さて、冒頭の「共有名義は何の解決にもならない」ですが、やはり結果的には問題の先送りでしょう。
しかし今ある条件の下で無理やり誰か一人の名義にまとめたとしても、相続の順番が変わってしまったらまた随分と面倒なことになりかねません。
このように共有名義にしておくと相続が重なって名義人が多数に膨らんでしまうと売却時にひと手間もふた手間もかかってしまうのです。