造っては壊す。これを繰り返すよりも、既存の中古住宅の売買を活発化させていこうとする方向性の法整備が深まっています。

 総務省の住宅・土地統計調査によると2013年現在、国内にある空家で別荘等を除くと460万戸。20年前から比べると1.7倍に増えています。このストックされている中古住宅の流通を活発化するために中古住宅の「瑕疵担保保険」や、一定の耐震基準や住宅性能を満たしていれば住宅ローン控除が築20年超の住宅でも利用できるなど、購入者側にとっては「安心」に加えて「減税」のメリットがありますし、同時に売主側には売れやすくなるメリットがあります。

 私も中古住宅を購入した経験があります。一応、この業界にいたので“見る目”はあると自負しています。雨漏りなら天井のシミや壁紙のシワで想像できますし、築後年数と現状から大切に使われてきたのか比較できます。柱の具合は歩いた時の床の揺れ具合、見た目から伝わってくる安定感といった根拠のない判断ができます。しかしそういう「目やカン(あてのない)」は一般的ではありません。

普通に中古住宅を見に行くとやはり何らか目に見える公平な情報や数値を頼りにしなくてはならないでしょう。

 「瑕疵」という言葉があります。「隠れたキズ」と言い換えたりします。中古住宅を見学に行ったときには見ることのできない部分の欠陥です。押入れの中とか天井裏の雨漏りの跡など見ることはできませんよね。ましてや壁を剥がして柱の状態をチェックするなんて絶対無理です。でも内装はどうにでも化粧直ししてキレイにできますが、隠れたところはできないのです。できないのですが家を買うときには大事な、大事な部分なのです。購入する時には口には出せないけどとても気になるところなのです。

 購入者の心理として「買ったはいいけど、もしも…」というように心にストップがかかります。よく売主さんが言うことに「うちを建てたときの大工さんはほんとに良い人だった。こんなにいい材料を使って建てたのは久しぶりだって言ってたし。だから丈夫なんです」と。でもこれは何の根拠もないので買主さんにとっては不安がちょっと和らぐ程度でしょう。

 今は「既存住宅売買のかし(瑕疵)保険」があります。売主さんが検査機関を通じてその家の検査を受けてから保険に加入しておくと、売却後に何か瑕疵が見つかったときには保険金で買主へ賠償してくれるというものです。

 検査のための費用(5万円程度)や保険料(保険金額や保険期間により異なりますが10万円前後)は売主さんの負担です。しかし、これにより見学に来た人へは「このような検査を受けているから大丈夫だし、もしも瑕疵があっても保険金で賠償されるから安心して」と伝えることができますね。

 物件を勧める側の仲介業者からの目線でも考えてみましょう。同じような物件でこの保険が付いている物件Aと、付いていない物件Bとでは、当然A物件のほうがお客さんに勧めやすいわけです。

 実はこの保険、買主さんにとっての大きなメリットは「住宅ローン控除」が使えるということです。中古住宅の場合、築20年以内(耐火建築物は築25年以内)の場合に住宅ローン控除の対象でした。しかしこの瑕疵保険が付いている家は住宅ローン控除が使えるのです。買主さんにメリットがあるということは売れやすくなるということで、結果的には売主さんのメリットでもあります。

 今、中古住宅を売っている方、これから売ろうとする方、ぜひ一度この検査を受けて保険を付けることでアピール度は格段と上がることでしょう!

 
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