今回は、前回までのテーマであるReTech、不動産とテクノロジーの融合について、まとめてみようと思います。
ReTechによる不動産登記
前回まで、ReTechがどのようなポテンシャルを持っているのか、アメリカと日本の不動産業の差を通じ、例示してみました。
今回は、そのReTechが具体的にどのように使われることによって、不動産のエンドユーザーの利便性が向上していくのか、考察していきたいと思います。
まず、第一回でも触れた通り、不動産登記のReTechによるサポートが考えられます。例えば、今の日本の不動産登記は、民法178条によって不動産物件の移動は不動産登記法による登記を対抗要件としています。
少し例を挙げてみますと、土地の所有者であったAさんが同一の土地をBさんとCさん両方に売却した場合、BさんとCさんは、どちらがその土地について所有権を主張することが出来るのか、それは先に所有権移転登記を行った方が、相手方に土地の所有権を対抗することが出来る、ということです。
現在の日本の不動産登記は、司法書士に依頼し、土地ごとの登記簿に所有権が移転するごとに追記していく仕組みになっています。さらにその信憑性は、法務局の登記官が証することによりなされます。
ここに、ReTechが応用されるとどうなるのでしょうか。想定されるのは、ブロックチェーンの仕組みを使いながら、土地の所有権の移転は、国の登記官が認証するのではなく、その移転に関わった二者以外の者によって認証されるようになるのです。
ここには、国やその付属機関によってオーソライズされることではなく、全くの第三者によって物件移動が確認、承認されることになります。
ReTechによる不動産投資
また、現在ブームの渦中にある不動産投資が、ReTechによってどう変わっていくか、考えてみましょう。
ビックデータというキーワードが最近よく目に付きます。不動産にとっては、人口がどのように増減し、どのように移動していくかが重大な関心事になっていきます。
特に、これから不動産投資を考えている投資家は、将来、投資しようとしている場所の人口推移が予測できれば、リスク把握と適切なリスク回避が可能となるでしょう。
また、過去の取引事例がすぐにわかり、将来の物件価格がどうなるのか、予想が出来れば、安心して投資が出来る訳です。
こちらはすでに一部で活用されていますが、現在売りに出されている物件価格が、周りの取引事例と比べてどうなのか、相続な何かの理由により、今の売り出し価格は、とてもリーズナブルだ、という市場のゆがみが利用できれば、投資家にとって有利なディールとなるでしょう。
まだまだ、ReTechは始まったばかりです。ここに挙げた事例は、後数年も経てば、現実のものとなる可能性が高いです。
それにより、今の不動産登記の仕方が大きく変化するでしょうし、不動産価格のゆがみを瞬時に捉えることで、いち早く勝者のディールを手に入れることが可能になるのです。
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