前回まで「2017年低金利下での不動産市況を大胆予想 」と題し、3回シリーズでお送りしました。今回から「人口減少下の不動産事情」と題し、マンション、戸建ての将来像を大胆に見ていこうと思います。
少子高齢化と人口減少
2月3日は節分、旧暦ではこの日をお正月と考え、区切りとしていました。
コンビニから出た風習なのでしょうか、最近は歳徳神のいるといわれる方向に向きながら、黙々と食べるのが通例らしいですね。そして翌日は立春、文字通り「春立つ」季節で、梅の花も咲き始めるころです。
陽光も強さを増して、なんとなく心浮き立つ季節かもしれません。
さて、今回から、人口減少の時代に入ってきた日本で、不動産、特にマンションと戸建てがどのような課題を抱えていくのかを少し考えていきたいと思います。
まず、巷間いわれているのが、いつまで不動産価格の高騰が続くのか、またいつ不動産の価格が下がるのか、です。
東京オリンピックが開催される2020年以降が、下がるタイミングだとよく言われます。こればかりは、神のみぞ知る領域でして、場合によっては、もう少し早く来るかもしれませんし、オリンピック閉会後もまだ、不動産価格の高値が続くかも知れません。
ひとつの例を挙げてみましょう。
東京エリアは、工事の槌音が鳴りやみません。ざっと見てみると、渋谷駅周辺の大改造、田町~品川間の新駅開業、虎ノ門エリアの再開発など、大型案件が目白押しです。
この例から見ると、東京エリアは利便性が一層高まり、人口の集中がより一層強まると考えがちです。しかし現実には、地方都市以上に高齢化が急速に進むと考えられています。
五輪後の住宅事情
国立社会保障 社会保障研究所が2013年3月に発表した2040年時点での地域別人口推計を見てみますと、まず2040年の総人口数は全都道府県で2010年の人口を下回り、また75歳以上の人口は、特に東京圏で著しい伸びを予測しています。
例えば、2010年比では埼玉県2.03倍、神奈川県2.01倍、千葉県1.95倍、東京都1.73倍となっています。全国平均が1.57倍ですので、一都三県の高齢化は急速に進行していきます。
さらに、2040年の75歳以上の人口は、東京都が213万人、神奈川県159万人、埼玉県119万人、千葉県が109万人と予測されています。この東京圏で2010年比で約300万人増える予想です。
高齢者に対応する医療施設、介護施設などがこれに対応して増えていくのは至難の業だと思います。
さらに、住宅の供給過剰感です。直近では、東京圏の人口は増加傾向にありますが、2040年では、2010年に比較して6%以上減少すると見込まれています。
特に東京オリンピックの選手村の宿泊施設は、住宅として供給することが決定されています。
選手村は中央区晴海地区に14~18階立てマンションが21棟、50階建て超高層マンションが2棟で、合計5650戸が供給される予定です。
2016年の23区マンション供給数は1万4764戸ですので、5650戸は全体の38%にも及ぶ訳です。
これらの新古マンションは、2024年までの間、大量に供給されることとなるでしょう。そうなると価格への影響も少なくないと考えられます。
(以下次号)