今回のテーマは、このシリーズ最終回「2017年低金利下での不動産市況を大胆予想 その3」と題し、金融と景気の綱引き下での予想をお伝えしてまいります。
アベノミクスがどこまで通用するか
マイナス金利の影響は、不動産市況に様々な影響をもたらしていることをお伝えしてきました。
この状況は、基本的に2017年も継続すると予想しますので、不動産市況もこれまでの流れを引き継ぎ「凪」の状態とみています。
また、筆者はすでに日本経済はプレ「デフレ」状態に入ったと思っていますので、不動産の価格上昇は見込めないと思っています。
不動産を金融商品と見た場合、その収益力や価格から判断すると、2016年にすでに天井を打っており、2017年は若干下落傾向に拍車がかかるのではないかとみております。
これまでアベノミクスが景気回復を下支えするとみられ、事実安倍首相が就任して以降、株価も大幅上昇してきました。
しかしここにきて3本の矢の腰折れがはっきりしてきて、特に規制緩和など、新たな経済対策が全く打ち出されないなど、政策面での手詰まり感が否めません。
景気と超金融緩和政策の綱引きで不動産価格が決まる
去年までの不動産価格の上昇は、前例のない金融政策によって作り出されたものであり、完全に官製のものと言って良いでしょう。
それは日本経済の真の実力から作られたものでありませんでしたが、もはやこれ以上の下駄を履かせる状況にはならないと予測します。国内外の機関投資家は、現状の価格水準に警戒感を持っています。
こうして、オフィスビルや新築マンションなどの価格下落はREIT市場にも影響し、今後大幅な上昇はあまり見込めないと予想しています。
さらに賃貸物件市場にも、その影響は波及し、さらに相続税対策による賃貸の新築物件の供給により、賃貸市況は低下が予想されます。
東京圏の人口減少はしばらく抑えられますが、地方の人口減は今後ますます加速し、この影響が地方の賃貸物件の賃料にかなりのインパクトを与えそうです。
その一方で、前回お伝えした通り、実質所得は増えておらず、財布のひもが固くなっていますので、エンドユーザーの家賃に対する考え方も一段と厳しさを増すものと考えます。
今後の不動産市況は、かつてないほどの金融緩和政策と景気との綱引きで決まることとなるでしょう。
金融政策に関しては、黒田総裁が任期中は従来の超緩和政策を変えることはないと思われますので、今年も継続していくでしょう。
一方景気に対する不透明感は、何と言ってもトランプ大統領の動向です。
今まで具体的な経済政策、特に為替政策について目立った発言をしていません。今後、何かしらの意見を表明し、それがネガティブサプライズになった場合、金融市場に与える影響はかなり大きいものとなるでしょう。
そしてその結果が不動産市場に影響を与えることは間違いないでしょう。
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