今回のテーマは、「2017年低金利下での不動産市況を大胆予想 その2」と題し、まだら模様となるであろう不動産市況について、お伝えしてまいります。
相続税対策のアパート建築は?
前回のコラムで、日銀によるマイナス金利が不動産の様々な面に影響を与えていることをお伝えしました。
特に相続税対策として、所有している土地にアパートを建設する需要が昨年かなり増加しましたが、今年もその傾向は変わらないと考えます。それは、金融機関の貸出先としてしっかり担保のとれる不動産物件は大変魅力的だからです。
低金利が継続することが予想される中、物件の利回りは低下し、投資対象としての魅力は薄れていきますが、金融機関の積極的な融資姿勢と相続税対策としての需要があるため、今年も底堅く推移していくと考えられます。
実需の新築マンションと中古マンションの動向
一方、この低金利が追い風になっていないのが新築分譲マンションです。
不動産経済研究所が1月19日に発表した2016年の首都圏のマンション販売動向によると、昨年一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)で売り出された新築マンションは、前年比11.6%減の3万5772戸で、3年連続での前年割れでした。
発売された月の末日までの契約率は68.8%で、好調の目安の7割を7年ぶりに下回ったようです。その原因は、東京オリンピックや都心のビル建設などでの職人の人手不足で、施工費がふくらみ、販売価格が上がって買い控えが起きている状況のようです。
場所によっては、値引きする事例も出てきましたが、価格調整がなければ、在庫として抱える不動産会社も出てくると予想されます。
また総務省が1月27日に発表しました2016年12月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合が99.8(2015年=100)と前年同月比0.2%下落しました。
これにより、勤労者の実質所得が実際に増えていないことが裏付けられたわけです。そうなりますと、ますます財布のひもは固くなり、価格に対するシビアさはより堅牢なものとなっていくでしょう。
価格が安いことで堅調だった中古住宅においても、高価格帯の物件の取引は減少しています。
高価格帯の在庫の増加率は顕著となっていますが、低価格帯の在庫はそんなに増えていないことから、エンドユーザーの価格に対するシビアさがうかがい知れます。
(以下次号)