総務省の平成25年度住宅土地統計調査
■全国の空き家総数は820万戸
今回は、最近、ニュースなどでも取り上げられることが多い、
全国の住宅の空き家問題を取り上げてみます。
よく全国で820万戸あるといわれていますが、この数字の出所は、
総務省統計局が平成26年7月29日に発表した平成25年度住宅土地統計調査によるものです。
この調査は昭和23年から5年ごとに実施され、平成25年版は14回目となります。
では早速HP上で発表されているグラフを見てみましょう。
出典:総務省統計局HPより
このグラフから読み取れることは、人口減少のフェーズに入ってきた日本ですが、
住宅戸数は依然右肩上がりということです。
5年前の平成20年と比較しても総住宅戸数は5.3%増の6063万戸、
空き家は8.3%増の820万戸とかなり増えています。
国の中古住宅対策
このような状況を、国は手をこまねいて、傍観しているわけではありません。
新築がもてはやされる住宅市場から、中古物件もきちんと評価され、
流通される住宅市場を確立しようと取り組んでいます。
その一例として、政府は中古住宅を購入する際に必要なリフォーム工事の費用を、
1件当たり最大で50万円補助する制度を2016年の第2次補正予算に盛り込もうとしています。
対象を40歳未満の購入者に絞り、若年層が使えるお金を増やして
個人消費を底上げする狙いもあるようです。
政府は秋の臨時国会に提出し、早ければ年内に開始、約5万戸の利用を目論んでいます。
その仕組みは、リフォームの施工業者が中古住宅の購入者に代わって国の事務局に申請し、
補助金を受け取って工事代を安くする仕組みを考えているようです。
この申請を行うとき、専門家が物件の傷み具合を判断する住宅診断いわゆるホームインスペクションを
受けていることが条件となります。
中立的な立場の機関の物件調査を受けることで、中古市場の透明化を図り、
安心して住宅を購入できるように制度を確立していくわけです。
補助の内容は、住宅診断にかかる5万円のほか、耐震補強や省エネ改修などリフォームの内容に応じて
最大50万円の補助を想定しています。
■今後の住宅市場のトレンド
日本の住宅市場に占める中古の割合は、たった15%程度にとどまっています。
日本人は、その几帳面な性格からか、新築志向がいまだ根強く、
古い住宅をリフォームして使う習慣が広がっていないためです。
政府は今後ますます中古住宅を活性化していくため、いろいろな政策を打っていくでしょう。
手始めに、リフォーム市場を13年の7兆円から25年までに12兆円に伸ばし、
全国で820万戸に達する空き家対策にもつなげていく予定です。
このように、新築偏重から中古物件を有効活用する方向に舵を切り始めた日本の住宅市場。
今後物件を手放すことをお考えの方々には、その市場整備が待たれるところでしょう。