ここ数年上昇傾向にある公示地価をもとに、都心や地方で起こっている不動産取引の現状を探ってみます。
そもそも公示地価とは、国土交通省が毎年3月に発表するもので、全国各地の毎年1月1日時点での1㎡あたりの土地の価格のことを言います。
土地の取引価格は公示地価に拘束されませんが、不動産鑑定士による鑑定評価は公示地価を基準としなければならないことが、法律で定められています。そのため、公示地価は不動産取引において重要な指標となり、客観的に妥当な価格でなければなりません。
2016年公示地価から見る都市と地方
ここでは2016年に発表された、平成28年度の公示地価をもとに、日本全国の都市と地方の格差をみていきます。
ここ数年、全国的に公示地価は上昇傾向にあり、東京都中央区銀座4丁目に置いては、1㎡あたり4010万円という過去最高価格が公示されました。しかしながら、全国的な住宅地の平均地価は前年比0.2%減となっています。
内訳を見てみると、東京、大阪、名古屋では緩やかな上昇が見られ、札幌、仙台、広島、福岡においては前年比2.3 %増と大幅に上昇しています。
にもかかわらず全国平均が下落しているということは、地方の地価が大幅に下落していると言うことになります。
公示地価上昇の理由
都心部において公示地価が上昇した理由としては、山手線周辺における駅前再開発や、交通アクセスの改善などが挙げられます。
札幌、仙台、広島、福岡といった政令指定都市において公示地価が上昇した理由は、再開発や観光、リゾート需要の高まりや、東京都心一極集中型であった不動産投資家たちが、リスクヘッジのため、政令指定都市での投資額を増やしたことなどが挙げられます。
不動産取引への影響
人口の移動や街の開発具合など、都心部と地方で大きく差が開いてきていることがわかります。
東京都心部では、地価だけでなくマンション等の不動産価格が跳ね上がっており、利回りが下がっていることから不動産投資の伸びがあまり大きくありません。
また大阪においては、外国人観光客を収容する宿泊施設が大幅に不足していることから、中心部において大幅な地価上昇が見られています。
福岡などにおいては、都心に比べると比較的手頃な価格で不動産を入手することができるため、不動産投資熱が高まり、それに伴い地価の上昇も見られています。