みなさんこんにちは。さて、今回のコラムも、前回のつづきになります。
僕が外国人起業の某案件の過程で、「物件調査」に行ったところ、そこで、ニュースさながらの光景を目の当たりにすることになったんです。
(注:写真は、イメージです。)
「ダメですよ。この状態じゃ、法的な手続きが進みませんよ。」
僕は、行政書士とかFPとか、そういう職業・立場を外れれば(外れなくとも)、民間人にすぎない。
だから、‘人間的な本音’でいえば、あまり依頼者に対して、堅いことを言いたくない。監視カメラを観てもらえればわかるけれど、僕は自宅の自分の部屋でスマイスター・マガジンのコラムを執筆しているときは、シャツとパンツ姿で、結構だらしない。
でも、実際にFPとか行政書士という立場を纏うと、僕は「法律」に則って話をしなければならない。「気持ちわかります~」じゃダメなんだ。今回も、「居住用」物件で、「規約上事業使用禁止」のマンションで、友人関係で「使っていいよ」という口頭約束のまま、「事業開始」しようとしているから、これを「行政手続き」という過程に引き上げるならば、きちんと改善していかなければならない。それが、ここ日本で活動する以上、法律(ルール)を守るということだ。
「でも、本当に我々の関係は良好なんですよ。なにも悪いことはしていないよ。一度、みにきてください。」
依頼者である外国人Aさんは、「なにも悪いことはしていない」かもしれないけれど、「法律には則らなきゃいけないんだ」、という堅いツッコミは隅に置き、僕は後日、実際に物件を見に行った。本当に普通のマンションで、エレベーターをでるとちょっと薄暗い。少し奥に進んでちょっと錆びた扉の横にあるインターホンを押す。
(注:写真は、イメージです。)
「おー、こんにちは。ハナシはきいていますよ。どうぞ。」
出てきたのは、依頼者の友人Bさんだった。
御年50歳半ばくらいだろうか。思ったよりコワモテではない。ちょっと部屋の中がタバコ臭いな~。相談スペースにも灰皿とか置いてあるんだろうなぁ~、などとくだらないことを思いながら、まず目についたのは、「玄関」だった。靴がたくさん、無造作に置かれている。
「やっぱりそうか・・・」
そう思いながら中に入ると、中から声がする。一番奥の部屋に、2~3人(ちょっと壁があって見えきれない)ほどだろうか。
「彼らは、今、ここに住んでいるんですよ。」
僕がちょっと奥の部屋を見すぎたのかもしれないが、タバコをふかしながらBさんの方から、話を切り出してきた。
「雰囲気的に、全員、外国人ですね?」
僕の位置からはっきりみえたのは、ちょっと色黒な東南アジア系が1人、それから、おそらく中国人が1人。声の感じからもうあと何人かいるかもしれない。
「そうですよ。みんな、いい連中なんです。でも、仕事がなかったり、住むところに困ったりで。先生ならわかるかもしれないけれど、ほら、ビザで困るでしょう?今は、僕が面倒みているんですよ。」
この段階で、「この案件の正式受任は、『100%ない』な。」(※下記参照)と感じた僕は、「タダでは転ばない」根性で、今の日本の現状や、昨今ニュースにもよく取り上げられている外国人と不動産トラブルの観点から、当事者の考え方を取材してみようかと方向転換した。ポケットに入っているタバコを取り出して、少し長居することに決めた。
(※)外国人法務(法務省入国管理局申請取次)を扱う行政書士は、高度な倫理が求められています。法律違反(虚偽申請、不法就労助長など)や、倫理に反する行為は固く禁じられており、そのようなケースでは、依頼を受けてはいけません。
(第5回につづく)