こんにちは、ファイナンシャルプランナーの宮崎真紀子です。
ライフプランのご相談に来られたWさん(63歳)。
賃貸マンションのオーナーをされていますが、
売却する方向で不動産業者に依頼しているとのことでした。
都内にある物件は駅から徒歩3分で、立地は抜群です。
【地震が心配なので売却したい】
まとまった資金が必要という状況ではないのに、売却するのは何故?と疑問に思いました。
賃貸を始めて約10年だそうですが、ここ3年ほどは、短期間で退去されることが多く、
①空室期間があること
②リフォーム費用がかかること
に悩まされているそうです。今回も突然の退去だったそうです。
そんな折、不動産業者から売却を勧められたそうです。
加えてWさんに売却を決心させたのは地震の心配です。
この物件、耐震の強度はクリアしていますが、築年数が古いのです。
老後の生活を考えると、家賃収入は魅力的です。
不動産の売却で得た資金を運用すると言っても、リスクを伴います。
Wさんは不動産オーナーをされていますが、
過去に株式運用に失敗した経験があるので、
資産運用に前向きにはなれないとのことでした。
売却を止めて賃貸を続けたら如何でしょう?
という提案を考えたのですが、「地震が不安」と言われてしまっては、
不安を払しょくすることは出来ませんでした。
【選択を変更したのは家族の気持ち】
マンションの売却を決めてから2か月が経ちました。
残念ながら希望の金額では買手が見つかりませんでした。
老後資金を考えると値下げの決心がつきません。
思い悩んでいるところに、事態は急展開しました。
Wさんには一人息子さんがいます。
このマンション、元々はWさん親子が住んでいた物件だったのです。
思い出の詰まったマンションです。
値下げしてまで手放すことに、彼は反対しました。
今、彼は一戸建てに家族4人で住んでいますが、
子供たちが巣立った将来は、そのマンションに住むことも視野に入れたい~
と言い出されたのです。
彼がマンションに戻るのは、今から10年以上先になります。
もし思い出の詰まったマンションでなかったら、
この気持ちにはならなかったと思います。
こうして、今回の売却は見送られました。
「思い出」の力、恐るべし~と思いました。
【将来の相続も考える】
昨今は、実家が空家となる問題も起こっています。
Wさんの息子さんは、将来住み替えたい~という希望ですが、
相続まで考えて親子で話し合うことも必要です。