不動産を取得すると、その持ち主の名前を登記することになります。
その際、複数人の名前とその持分を登記することが可能です。
夫婦でマイホームを購入するときに、共有名義にするケースがよくあります。
しかし、夫と妻の持分を単純に1対1にすると、思わぬ落とし穴にはまるかもしれません。
▽基本的には資金の割合
共同所有者の持分は、不動産を取得するために出した資金の割合で決まります。
たとえば5,000万円でマイホームを購入したと仮定しましょう。
夫が4,000万円、妻が1,000万円出していたら、夫の持ち分が4/5、妻の持ち分が1/5となります。
もしもこのケースで夫と妻の持分を1対1にすると、夫が2,500万円、妻が2,500万円負担しないとおかしいことになります。
そのため、夫から妻に1,500万円贈与したとみなされ、妻に贈与税が課税されてしまうのです。
▽購入代金の計算
不動産の購入代金に含まれるものは、建物代と土地代だけに限りません。
古い建物の取り壊し費用や、リフォーム費用、仲介手数料、不動産取得税、ローン保証料や団体信用生命保険料なども購入代金として計上されます。
購入代金を正確に計算すると細かい数字になることもあるでしょう。
年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりませんので、誤差110万円以下のきりの良い数字で持ち分を決めて構いません。
▽共有名義にする注意点
複数人の共有名義にする場合には、売買契約書に共有者全員の署名が必要になります。
そのため、売買契約の時点で一人の名義にするか、共有名義にするか、決めておかなくてはなりません。
資金配分や持分は後から決めても大丈夫です。
ちなみに、共有名義にはデメリットもあります。
夫婦共有名義にすると、万が一離婚した場合にややこしくなります。
どちらの所有者にも権利があるため、双方の合意の上でないと売却することができません。
また、親子共有名義にすると、親が死亡したときに親の持分が遺産分割の対象となってしまいます。
自分だけが相続人だったら問題ありませんが、ほかにも相続人がいる場合には注意しましょう。