10年ほど前に世間をにぎわせたアスベスト問題を記憶している方も多いことでしょう。
アスベスト(石綿)は健康被害を招くおそれがあるため、国内では段階的にアスベストの使用が禁止されてきました。
新しい建物であればアスベストが使われているケースはほとんどありませんが、古い建物にはアスベストが使われている可能性があります。
不動産を売却する際、アスベスト調査をする必要はあるのでしょうか?
▽アスベスト調査は必須ではない
結論から言えば、売主にアスベスト調査を行う義務はありません。
実際のところ、古い不動産でも木造一戸建てであれば吹き付けアスベストが使われているケースはほとんどないからです。
アスベストにもさまざまな種類があって、中でも健康被害のリスクが高いのは吹き付けアスベストです。
飛び散ったアスベストを吸い込むことが問題なので、きちんと対策がされていれば問題のないケースもあります。
吹き付けアスベストが使用されていることが多いのは、マンションやビルの駐車場なので、一般的な戸建て住居にはまず使われていません。
▽重要事項説明におけるアスベスト調査とは?
2006年4月24日に施行された「宅地建物取引業法35条1項12号の規定に基づく宅地建物取引業法施行規則16条の4の2についての改正」において、アスベスト調査に係る重要事項説明が追加されました。
これにより、売買や賃貸の対象となるすべての建物に対し、重要事項説明で「石綿使用調査結果の記録の有無」を説明することが義務付けられました。
過去にアスベスト調査が行われていたら、調査の範囲や実施機関、石綿の使用の有無について説明をしなくてはなりません。
しかし、アスベスト調査を行ったことがなければ「調査したことはありません」というだけで済んでしまいます。
この点はちょっといいかげんですね。
2006年3月からはアスベストを含む素材が全面的に使用禁止となっています。
それ以降に完成した建物であれば、アスベストについては心配ないでしょう。