東京カンテイの調査によると、2015年7月~2016年6月の新築マンションPERが三大都市圏で上昇していることが明らかになりました。
これは新築マンションの収益性が低下していることを示しています。
この記事では新築マンションPERとは何か、どうして収益性が低下しているのか、詳しく解説します。
▼新築マンションPERとは?
PERというのはもともと株価の指数の一種で、株価収益率(Price Earnings Ratio)と言われるものでした。
これを新築マンション向けにしたものが新築マンションPERです。
不動産専門の情報サービス会社である東京カンテイが毎年発表しています。
具体的には新築マンションの物件価格が、同じエリアのマンションの家賃何年分に相当するか示したものです。
算出に使われるマンションは賃貸マンションではなく、賃貸に出されている分譲マンションという点に注意してください。
これは、賃貸マンションと分譲マンションでは仕様や設備が異なり、比較できないためです。
たとえば2,400万円の物件があったとしましょう。
同じエリアのマンションの家賃が月10万円とすると、年間家賃は120万円です。
2,400万円÷120万円=20年分ということで、新築マンションPERは20となります。
PERが低い方が物件価格を早く回収できることになり、収益性が高いことを意味します。
▼最新の調査結果
2015年7月~2016年6月の調査結果は以下のとおり。
首都圏28.66(前年比+1.36ポイント)
近畿圏28.30(前年比+2.26ポイント)
中部圏28.55(前年比+2.26ポイント)
東京カンテイによれば、70平方メートル換算平均価格が5,998万円(前年比+10.3%)だったのに対して、70平方メートル換算平均賃料が17万5,551円(前年比+5.3%)にとどまったことから、PERの上昇を招いたとされています。
たとえ家賃が上がっても、それ以上に物件価格が上がったら収益性は上がりません。
2013年までのPERは24弱で推移していましたが、2014年に24.99、2015年に27.30と急激に上昇しています。
▼今後のマンション価格はどうなる?
今回の調査結果はマンションの物件価格が急激に上がっていることを示すものでした。
このままではマンションそのものの購入者が減ってしまうことから、物件価格を下げようとする動きが出てくるかもしれません。
今後どのように推移していくのか、注意深く見守る必要がありそうです。