平成28年に行われた不動産関係の法令改正の中で、不動産売却に関係しそうなものをいくつか抜粋してご説明します。
▽マンション標準管理委託契約書の改正
2016年3月、国土交通省ではマンション標準管理委託契約書の改正を行いました。
この補足説明をしている「マンション標準管理委託契約書コメント」も同時に改正されています。
具体的にはマンション管理業者が不動産売却の際に開示する情報の項目が増えています。
・大規模修繕工事の予定
・役員の選任方法、理事会回数
・管理費等の額の変更予定
・特定の者の管理費等の減免措置の有無
・ペット等の専有部分使用制限
・駐車場等の空き状況
・敷地及び共用部分の事故・事件などです。
どれも重要で、購入前に知っておきたいことばかりですね。
購入者にとっては細かいところまで知ることができるので、より安心して取引できることでしょう。
▽犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律
自分が住んでいた不動産を売却する一般の人にはほとんど関係のない話ですが、犯罪による収益が移転されないよう、不動産売買においても本人確認が強化されることになります。
一例を挙げると、顔写真のない本人確認書類は追加の確認が必要となります。
これまでは健康保険証や年金手帳等の本人確認書類も認められてきましたが、これにプラスして公共料金の領収書を提示したり、転送不要郵便を受領したりという手続きが行われるということです。
ほかにも個人の顧客に対して、不動産取引を行う目的や職業についても確認することになっています。
▽空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除
空き家の発生を抑制するため、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除が行われることになりました。
簡単に説明すると、相続した家屋や土地を売却した際にかかる税金が安くなる制度です。
これまでは原則として所有者が住んでいた家でないと特別控除が行われませんでしたが、2016年4月の法改正によって相続した空き家にも適用されることになりました。
ただしこれには細かい条件があり、ほかの特例措置と併用できない場合もあるので、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。