高度成長時代に田舎から都心に移り住み、財産を築いた人たちの相続が始まっています。「自宅」という財産を相続する場合はどうでしょうか。
都心の不動産は、居住用としても、賃貸物件としても、また売却するにしても条件が良いでしょう。
もし、同じ不動産を複数の相続人が住みたいと考えたり、1人は住みたいがもう一人は売却したいと思った場合はどうしたら良いでしょう。
たとえば、次の図1~3は同じ60坪野土地で、相続人2人で分割した場合を考えたみました。
【図1】は、土地が所在する地域や条件・要望により異なりますが、都心で考えた場合に分譲住宅も可能な家を建築することができるでしょう。
しかし、同じ土地を4人の相続人で分けた場合は、土地の間口は一人あたり3.75m(およそ6畳の部屋の長辺)建物間口は約2.5mになってしまいます。これでは、満足できる家を建築できません。
【図2】は、土地は同じ60坪ですが道路に面する土地の部分は10mですから、相続人が2人の場合にそれぞれの間口は5mになります。思うような建物は期待できないでしょう。
では【図2】と同じ敷地の大きさ、形ですが【図3】のように分割してみたらどうでしょうか、30坪ずつ分割すれば、奥の相続人が利用できる有効宅地面積が少なくなってしまいますので、平等にはなりません。その分を勘案し、方位や近隣状況により奥の土地と道路側の土地の面積をバランスよく分割しなければなりません。
相続した土地を、相続人それぞれの事情により「利用する」「売却する」ことは、分割条件によってダイヤモンドの指輪の例のように、もともとの財産価値を下げてしまうこともあります。
兄弟姉妹で平等にしたくても、土地は分けにくく、まして親の住まいはフローリングを長男に、システムキッチンを長女に、外装材を弟に、屋根材を妹になど分割することも非現実的です。
このように、自宅という不動産は平等に分けにくい相続財産です。
もし、親の土地を利用して二世帯住宅を建築する計画をお持ちでしたら、将来のトラブルを避けるために、両親も交え事前に兄弟姉妹と相談することが円満相続の要になります。