民泊やホテルをテレワークや一時避難所に!創意工夫による新たな需要開拓

カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊を始めとした宿泊関連ビジネスの最新情報を紹介します。新型肺炎(新コロナウィルス)の影響はついにオリンピック、パラリンピックの延期にまでなりました。民泊・宿泊事業の壊滅的な影響が続いています。撤退も含めて、あらゆる選択しを考えるときでしょう。(リビンマガジンBiz編集部)

画像=写真AC

4月7日ついに政府より緊急事態宣言が出されました。休業補償や給付金支給などの対策も議論がなされていますが、経済への打撃は不可避です。その中でも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による出入国制限や、相次ぐイベント中止、リゾート施設の閉園、外出自粛要請で苦境に立つ宿泊業界が、新たな需要開拓に取り組んでいます。

ホテルニューオータニが、テレワーク向けの昼間使用プラン販売を開始

千葉市のホテルニューオータニ幕張は、日帰りで客室を利用できるプランの販売を始めました。新型コロナウイルスの感染拡大防止により、多くの企業で在宅勤務が広がっているのを受け、一時的な仕事場としての宿泊なしの客室プランを販売するというものです。

在宅勤務を行うためには仕事に集中できる環境や一定程度整ったインターネット環境なども求められます。在宅勤務に取り組む人のなかでは「やむを得ない状況とはいえ、1LDKの広くはないマンションの自宅、しかも、自分だけではなく、家族全員が空間を共有する中での在宅勤務です。在宅勤務になったと言って仕事量が減るわけでもなく、やるべきことは多いが、子供の泣き声で電話会議もままならず、とても仕事に集中できる環境ではない。」といった不満の声があります。

この点、ビジネスホテルや民泊施設は仕事に適した環境が整備されています。特に民泊や宿泊特化型ホテルは、無人チェックインシステムやスマートロックが採用されており、完全非対面で利用可能なため、人との接触も少なくすることができます。

家族不和を解消「一時非難場所」としてのホテル・民泊活用

また、在宅勤務以外の目的でも宿泊施設の利用ニーズが高まっています。海外では、外出自粛要請の影響で配偶者間のDVが増加しているとの報道がありますが、家族が分散して過ごすために宿泊施設を利用する選択肢です。

仲の良い者同士であっても、ずっと顔を突き合わせていなければならない環境では息が詰まってきます。ただでさえ気分転換もできない状況で、社会や経済の不透明感により、今後の仕事や生活への不安が高まり、気分がイライラしている人も増えています。「飲食店を経営しているが、集客も見込めないため店は臨時休業中です。今後の売上の見通しがつかない状況ですが、家賃などの固定費、今後の生活は待ったなし。不安でやることもないのでお酒を飲んでは家族と衝突しています。」

つい相手にネガティブな感情をぶつけてしまうという、家族や夫婦のために、民泊施設に夫婦どちらかを「一時避難場所」として受け入れるサービスを始める民泊事業者が登場しました。家具家電、キッチンや洗濯機から食器まで、中長期滞在にも適した環境が整っている民泊施設は、その日から生活を始めることができる環境が整っています。

必要以上の衝突や家族不和を避けるためには、一時的に距離を取ることも有効な方法と言えるでしょう。ずっと同じ場所で生活するよりも、人との接触を避けつつ、別の場所に滞在することで気分転換を図ることもできます。

医療従事者や軽症の感染者を受け入れるビジネスホテル

感染者の増加により逼迫する入院施設の状況を鑑み、無症状や軽症の感染者の滞在場所として客室を提供するビジネスホテルも現れました。都内のアパホテルや当事務所近くの東横インでは、1棟を貸し切ったり、フロアを区切ったりして区切り、感染者を受け入れています。また、アパホテルは医療関係従事者については、半額で宿泊可能となるクーポンを発行するとともに、テレワークに活用できるプランの販売を新たに開始しています。

社会の状況変化と新たなニーズを模索して創意工夫することが大切

オリンピックの延期や入国制限により宿泊需要は全体的に落ち込んでいますが、新たな需要が生まれています。今後は、観光・旅行やビジネス出張だけではなく、自然災害発生時など、有事の際にBCPとしてホテルや民泊を活用する機会が増えていくと考えられます。難しい状況ではありますが、ビジネスでは社会の状況変化と新たなニーズを模索して創意工夫することが大切です。「ピンチをチャンスに」というフレーズもありますが、ホテルや民泊の施設の新しい活用方法は、不自由な私たちの在宅生活の選択肢を広げてくれるかもしれません。

 
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