画像提供=筆者 

玄関帳場(フロント)はなく、代替設備を設置しました。建物入口の共用部にチェックイン(宿泊者名簿入力と本人確認)を行うためのタブレット端末を設置しました。来訪したゲストは、まずここで宿泊者名簿の入力し、Webカメラを通じて運営会社が宿泊者の本人確認を行います。本人確認完了後に、各客室の鍵を開けるための暗証番号を連絡し、入室するという流れです。

また、宿泊施設の出入り状況の確認を常時監視する必要もあるので、建物共用部の上部にビデオカメラを設置しました。万一、不審者が出入りするようなことがないか、運営会社が24時間体制で監視しています。

緊急時は、提携先の建物管理会社が駆付けを行ってくれることとなりました。緊急事態発生時は、まず宿泊者から運営会社に連絡が入り、駆付けが必要と判断した場合は、運営会社から緊急駆付けを行う管理会社に要請を出して、現場に急行する態勢です。

一連の手続きがスムーズに運ぶよう、関係者で何度も話し合い、調整を行いました。

客室で問題になったのは、照度と近隣施設に関することです。すぐ近くに中高一貫の私立女子中学・高等学校があります。施設照会の実施はもちろんですが、特に保護対象施設と旅館業施設が近接する場合は、客室内部を遮断する構造としなければならないというルールがあります(これは港区の条例による定めですが、同様の条例を設けている自治体は都内に他にも存在します)。客室のバルコニーについたてを設置するか、窓に見通しを遮るシートを貼りバルコニーに出ることができないようロックをするなどの対応が必要になります。

また、旅館業施設では客室は40ルクス以上、廊下などは20ルクス以上の照度(明るさ)が必要とされています。40ルクスというのは感覚的にはかなり暗く、本など読むのはつらいくらいですが、なぜか40ルクス満たしていない施設が多く、要注意のポイントです。(暗い方が落ち着いた雰囲気が出るので、ついつい暗くしてしまうのでしょうか)

検査当日は、土砂降りの雨の日で、保健所職員、運営会社、管理会社の皆様も大変だったと思います。駆けつけの拠点から本当に10分で移動できるのかを確認するため、全員で傘をさしながら歩きました。

宿泊事業は大勢の人がかかわり、各業務を分担して、協力し合いようやく整います

無事に営業許可が下り、ホッとすると同時に関係者の皆様には厚くお礼を申し上げます。

行政書士の役割は、いったんこれで完了となりますが、今後の事業の発展をお祈りしています。

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