石井くるみの民泊最前線
カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊を始めとした宿泊関連ビジネスの最新情報を紹介します。前回に続いて、市街地調整区域について考えます。(リビンマガジンBiz編集部)
市街化調整区域に存在する住宅で住宅宿泊事業(民泊)を営業について、その可否の判断は、その住宅の『属人性の有無』が重要であることを前回の記事でお話ししました。今回は、その住宅の『属人性の有無』はどのように見極める方法について解説します。
市街化調整区域に建築されている住宅の『属人性の有無』の判断にあたっては、次のような資料で確認します。
(属人性の有無にあたっての判断資料)
・当該建物の登記事項証明書
・当該建物の建築基準法第6条の2第1項の規定による確認済証
・建築基準法第7条の2第5項の規定による検査済証及び建築計画概要書
・固定資産税課税台帳
・国土地理院航空写真
本来、住宅の建築や用途の変更などが厳しく制限され、新しく建物を建てることができないはずの「市街化調整区域」に建築している住宅は、大きく2つに分類されます。
1つは、前回解説した『特別の許可を受けて建築された、特定の権利を受けた人が居住するための属人性がある住宅』です。(前回記事はこちらから)
そして、もう1つは『市街化調整区域に指定される以前から存在する住宅』です。歴史を振り返れば、「市街化調整区域」のエリアも、以前は制限なく自由に建物を建築することができたはずです。ところが、後になってから規制がつくられ(=市街化調整区域に線引きされた)、「今後、このエリアは市街化を抑制するので、新しく建物を建築できるのは特定の権利を受けた人が住むための住宅(=属人性がある住宅)だけにします」という経緯をたどっています。このような場合でも、線引き以前からすでにあった建物はそのまま使い続けることができます。建物の用途についても建築された時点の法規制が適用されるので、線引き前に建築された住宅の利用方法は自由です。つまり、住宅宿泊事業(民泊)を営業することが可能なのです。(ただし、建替える場合は現在のルールが適用されます。)