石井くるみの民泊最前線
カピバラ好き行政書士 石井くるみさんが民泊を始めとした宿泊関連の最新情報を紹介します。
今回は古民家を改装した注目ホテルをレポートします。(リビンマガジンBiz編集部)
江戸情緒あふれる町並みが残る千葉県・佐原
歴史的な町並みが残り、貴重な建造物がある千葉県・佐原に古民家を改装した素敵な宿があると聞き、足を運びました。重要伝統的建造物群保存地区に指定される佐原。町を流れる川沿いには、江戸時代の風情がそのままに残された建物が軒を連ねています。
(画像=石井くるみ)
コンセプトは『商屋町全体をホテルに』
『佐原商家町ホテル NIPPONIA』は、佐原の町をゆるやかにひとつのホテルと見立てて、地元の味覚を愉しむフレンチレストラン内にあるフロント棟、築100年超の商家を改装した宿泊棟が町中に点在しています。
(画像=石井くるみ)
(画像=石井くるみ)
(画像=石井くるみ)
宿泊棟は1棟貸切のものや、278㎡の広いドッグラン付設した客室など、ペットと宿泊可能なものなど4つの棟から構成されます。ゆったりくつろいだ滞在を楽しむ家族・グループ旅行にぴったりですね。
地銀など官民ファンドにより集めた資金を活用
このホテル事業について特に注目すべきは、この宿泊施設の建築を含めた町おこしが、地元金融機関や政府系ファンドによる資金を活用した取り組みであるという点です。
事業を束ねる「株式会社ニッポニアサワラ」が、地元の京葉銀行や佐原信用金庫、地域経済活性化支援機構(REVIC)が設立した「千葉・江戸優(まさ)り佐原観光活性化ファンド」などから、計2億円の出資を調達し、これを元手に古民家を改修して宿泊施設にリノベーションを行いました。運営は古民家再生事業で実績のあるバリューマネジメント(大阪市)が担っています。
私の事務所にも『古民家を活用し、宿泊事業を中心に地域経済・観光を活性化したい』という相談が多く寄せられていますが、観光とは、その地域を訪れて、いろいろな文化遺産を触れたり、食事や買い物をしたりなど様々な要素から構成されるもので、『宿泊』だけで成立するものではありません。不動産活用にはまとまった資金も必要となり、地域の他の事業者や行政、金融機関などとの連携・協力が欠かせません。利害関係者が多く絡むプロジェクトを進めることは容易ではなく、結果的にまとまらないケースもあるなかで、この佐原町の取り組みは先端的なモデルケースと言えます。
>>2ページ目:「NIPPONIA・佐原」の内部を紹介!(続き)