売買スケジュールの例
これまでの説明を踏まえた、旅館業の許可を受けた物件売買の一般的なスケジュールが以下の表です。
旅館業許可物件の売買スケジュール例
出所:日本橋くるみ行政書士事務所作成
①募集開始後、買付申込まで
募集開始後、物件に興味を持った買主候補は、旅館業の許可取得等に必要な事前調査を実施します。売主は、買主の事前調査に対応して、必要な書類等を提供し協力します。
②買付申込から売買契約締結まで
買主候補から買付の申込が入ったら、具体的な条件交渉を開始します。旅館業に付随する諸資産の譲渡等に係る詳細な条件を詰めたうえで、売買契約書を締結します。
③売買契約締結から決済・引渡しまで
買主は、物件の引渡し前の段階から、許可申請書類の作成や委託先との契約締結等の開業準備を開始します。売主は、買主と合意した条件に基づき、物件引渡し前までに、不要な什器の処分等を済ませます。
④物件の引渡しから許可取得まで
物件の引渡し後も、旅館業の許可が下りるまでの間、買主は営業することができません。売主は、旅館業を廃業したら、十日以内に、その営業施設所在地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では、市長又は区長。以下合わせて「都道府県知事等」とする)に提出しなければなりません(旅館業法施行規則4条)。
このように、民泊を目的とする不動産取引において円滑な事業の承継を行うには売主と買主の相互の協力が欠かせません。最終回では、このように不動産取引の煩雑な手続きを行うことなく民泊物件を売買可能なM&A活用による事業譲渡について解説します。
【シリーズ】民泊を目的とする不動産売買の留意点
第4回 民泊を目的とする不動産売買の留意点