シェアハウスの簡易宿所化にあたっては、通常、自動火災報知設備と誘導灯の設置が必要となりますが、特にコストが高いのが自動火災報知設備です。ここで覚えておいてほしいのは、2階建かつ延べ面積300㎡未満の物件であれば、コストの安い「小規模特定施設用自動火災報知設備」の設置が認められる点です。消防法令に係る様々な免除・緩和規定を使って、極力少ないコストで法適合を図るよう工夫しましょう。
前回解説した用途変更の建築確認申請や、本稿で解説したトイレ等の増設及び消防用設備の設置によるコストの把握はもちろん、シェアハウスの簡易宿所化においては、十分な宿泊ニーズが望めるか否かの判断が極めて重要です。宿泊ニーズの低い立地であれば、簡易宿所化に要したコストを回収できない事態となりかねませんので、多額の転用コストを要するシェアハウスの簡易宿所コンバージョンの決断の前に、宿泊に関するマーケット分析をしっかりと行いましょう。
続く連載最終回では、年間180日の営業制限はあるものの、簡易宿所よりもコストを抑えて民泊営業を可能とする「住宅宿泊事業法」(民泊新法)をシェアハウスに活用する方法を解説します。