隔週月曜配信「石井くるみの 民泊最前線」
カピバラ好き行政書士 石井くるみさんに民泊の最新情報を紹介してもらいます。
深刻化するシェアハウス問題を「民泊」で解決できるのかを5回にわたって解説します。第4回目は、前回に続き「寄宿舎」に区分されるシェアハウスを「簡易宿所」に変更する際のコストについて紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
第2回 シェアハウス簡易宿所化の可否を分ける「用途地域」と「窓先空地」
第3回 シェアハウス簡易宿所化に要するコスト①…用途変更の建築確認申請
(画像=写真AC)
女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」で知られるスマートデイズが、物件所有者への賃料の支払を突然停止したことで表面化したシェアハウス問題。連載第4回では、前回に引き続き、シェアハウスから簡易宿所に技術的に転用可能な物件について、実際にコンバージョンを行う場合に発生する主なコスト項目を解説します。
図表:シェアハウス簡易宿所化の判断フローチャート
連載第3回で解説した用途変更の建築確認申請に加え、シェアハウスから簡易宿所へのコンバージョンでは、旅館業法に基づくトイレや浴室等の増設や、消防法に基づく消防用設備の設置が重要なコスト項目となります。
法規制
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主なコスト項目
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コスト削減策
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旅館業法
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トイレや浴室等の増設
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✔宿泊定員を最適な数に設定する
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消防法
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消防用設備の設置
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✔小規模特定施設用自動火災報知設備を設置する
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トイレや浴室等の増設…自治体の条例・規則を調べ、宿泊定員数を最適化する
「多数人共用」の構造設備を主とする簡易宿所では、共用トイレの便器個数、共用洗面所の給水栓個数、共用浴室の個数等が、各自治体の条例や規則に定められています。下記の東京都新宿区の例のように、多くの自治体では、宿泊定員に応じて、必要とされる共用設備の個数が決定されます。
図表:簡易宿所に必要とされる共用設備の個数(新宿区の例)
自治体 |
宿泊定員/床面積 |
共用便所 の便器個数 |
共用洗面所 の給水栓数 |
東京都 新宿区 (新宿区旅館業法施行条例施行規則17条、18条) |
定員2~5名 |
2個 |
1個 |
定員6~10名 |
3個 |
2個 |
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定員11~15名 |
4個 |
3個 |
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定員16~20名 |
5個 |
4個 |
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定員21~25名 |
6個 |
5個 |
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定員26~30名 |
7個 |
6個 |
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定員31名~ |
以降、定員10名増加ごとに1個増設 |
シェアハウスを簡易宿所に転用するにあたっては、物件所在地の自治体の旅館業法に関する条例・規則を調べ、最適な宿泊定員数を決定しましょう。例えば、新宿区では宿泊定員5名ごとにトイレや洗面所の必要個数が増加しますので、最大定員を16名とできる場合でも、あえて15名に定員を抑えることで、必要なトイレ等の個数を削減することができます。
消防用設備の設置…2階建で延べ面積300㎡未満なら小規模施設用の設備でOK
シェアハウスは、消防法施行令別表第一に掲げる5項ロの防火対象物「寄宿舎、下宿又は共同住宅」に該当します。他方、簡易宿所は同別表5項イの防火対象物「旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの」に該当し、次のとおり、5項ロよりも消防用設備の設置基準が厳しくなります。
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シェアハウス |
民泊(簡易宿所) |
消防法令上の用途 |
5項ロ |
5項イ |
自動火災報知設備 |
500㎡以上で必要 |
面積に関係なく必要(※) |
誘導灯 |
地階、無窓階、11階以上の階に必要 |
全ての階に必要 |
消火器 |
150㎡以上で必要 |
同左 |
※2階建かつ延べ面積300㎡未満であれば小規模特定施設用自動火災報知設備を設置可能