隔週月曜配信「石井くるみの 民泊最前線」
カピバラ好き行政書士 石井くるみさんに民泊の最新情報を紹介してもらいます。
6月より制度がスタートする住宅宿泊事業法(民泊新法)は、届出を行うことで年間180日まで民泊(住宅宿泊事業)を営業が可能となります。日数が制限されるため、民泊ビジネスを収益化するには、旅行者の需要が高い時期(ハイシーズン)を把握することが重要です。(リビンマガジンBiz編集部)
(画像=写真AC)
旅行のニーズが高まる要素は、温泉地なら冬、避暑地なら夏といった地域差がもちろんあります。しかし、一番の要素はバケーションの時期です。日本人による国内旅行であれば、年末年始、GW、夏休み(お盆)、シルバーウィークなどが挙げられます。
海外からの旅行者であれば、国の祝祭日が挙げられます。観光庁の統計によると、訪日外国人の約75%はアジアからの旅行者でした(国籍別外国人延べ宿泊者数は、第1位中国、第2位台湾、第3位 韓国、第4位香港、第5がアメリカ(平成29年))。中華圏で最も重要な祝祭日と言われる「春節(※)」は、中華人民共和国を中心に、シンガポールや大韓民国などの中華圏国家で祝われ、人々はバケーションを楽しみます。
※注1=春節:中国圏における旧暦の正月。春節の前日から1週間休みを取るケースが多い。
【各年・春節の日付】
2018年
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2月16日
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2019年
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2月5日
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2020年
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1月25日
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2021年
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2月12日
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2022年
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2月1日
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2023年
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1月22日
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2024年
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2月10日
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2025年
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1月29日
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2026年
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2月17日
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2027年
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2月6日(日本は2月7日)
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2028年
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1月26日(日本は1月27日)
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2029年
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2月13日
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2030年
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2月3日(ベトナムは2月2日) |
東京から約2時間、富士山麓に位置し、豊かな自然に囲まれ、自然散策にぴったりと人気が高い観光地・富士河口湖に話を移します。山梨県富士河口湖で観光振興に携わっている筆者の友人によると、通常であれば旅行者の割合は6~7割が日本人で外国人は約3~4割(年々増加傾向にある)です。しかし、2018年の春節は中国、台湾、香港からの旅行者が9割以上を占め、どの宿泊施設も繁忙していました。
平成 28 年富士河口湖町観光統計によると、月別観光入込客数の構成比は、上位から
・5月14.3%
・8月11.4%
・11月11.2%
・7月10.5%
となっており、おおよそ国内の連休と観光客数の増加月の一致が読み取れます(国内旅行者が多い)。
他方、月別外国人宿泊客数の構成比に目を向けると、上位から
・4月11.3%
・5月9.5%
・3月9.0%
となっており、国内旅行者とはハイシーズンがずれていることが分かります。
河口湖を訪れる外国人旅行者の国籍別構成比は
・中国35.8%
・タイ%18.0
・台湾16.5%
・香港5.4%
となっています。国ごとのハイシーズンは、中国が2月、タイが4月、台湾が7月、香港が11月と、訪れる時期がばらけた、興味深い統計結果が報告されています。
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊施設の営業を検討する場合は、国内外の旅行者の属性に合わせた部屋づくり(コンセプトメイク)、地域特性に合わせた営業日(シーズン)と販売価格の決定が重要と言えるでしょう。
次回は3月26日公開予定です。