毎週月曜配信「石井くるみの 民泊最前線」

カピバラ好き行政書士 石井くるみさんに民泊の最新情報を紹介してもらいます。

今回は、「訪日外国人旅行者の宿泊施設利用動向」をもとに、拡大するインバウンド市場から民泊の現状と今後を予想してもらいました。(リビンマガジンBiz編集部)


(画像=写真AC)

■訪日外国人旅行者の民泊利用率は14.9%


ここ数年で、新たな宿泊形態の1つとして定着した「民泊」。日本全国に存在する民泊施設(旅館業の営業許可の有無を問わない)は、4万件とも5万件ともいわれますが、観光庁がとりまとめる訪日「外国人旅行者の宿泊施設利用動向調査」の結果にも変化が生じています。

日本滞在中に利用した宿泊施設が、ホテルでも旅館ない、「その他」 と回答した外国人旅行者が急増しているのです。

観光庁の発表によると、平成29年7-9月に観光やレジャー目的(ビジネス以外)で日本に訪れた外国人旅行者のうち、14.9%が、「有償での住宅宿泊(=Airbnb、自在客といったサービスが仲介する民泊)」を利用したと回答しています。外国人旅行者が日本滞在中に利用した宿泊施設 のうち、ホテルや旅館を除く「その他(民泊を含む)」 の利用率は年々増加しており、平成 29年7-9月は15.4%平成27年同時期の3.6%と比較して急速な伸びを示しています。

■民泊利用率が一番高い国は?


上記のように、日本へ旅行する際、ホテルや旅館ではなく「民泊施設」を利用する外国人旅行者が急増しています。

では、国籍や地域別では、どの国からの旅行者が民泊を多く利用しているのでしょうか?
民泊といえば、中国・韓国、香港といった東アジアの利用者が多いイメージがあります。しかし、国籍・地域別に最も利用率が高いのは、シンガポールで利用率は約4割でした。

次いで、フランス約36%、インドネシア約30%、オーストラリア約28%と続きます。
予想に反して欧米からの旅行者の利用率が高いことがわかります。これは、一般的に民泊を利用するのは、欧米諸国の旅慣れた旅行上級者であることが多いためです。

【観光・レジャー目的の訪日外国人における民泊利用率】

(画像=リビンマガジンBiz編集部)
参考データ:観光庁「訪日外国人消費動向調査」

中国・韓国から日本に来て民泊を利用する旅行者も一定程度は存在すると推測されます。しかし、これらの国は旅行者の母数も大きいため、訪日旅行者全体の割合からすると民泊の普及率はまだまだこれからといえるのではないでしょうか。

客層の年代は「20代以下」が約61%となっており、「30~40代以下」も加えると約94%と若年層が大多数を占めます。家族や友人同士のグループが多く、 往復交通手段はLCC利用者が多い、などの結果は、イメージの通りです。

都道府県別の訪問率をみると、東京は民泊利用者が約40%、非利用者が約41%とほぼ同数であるのに対し(つまり、民泊を利用する・しないにかかわらず、旅行者の大部分が訪れている)、 大阪府は民泊利用者が約64%、非利用者が約44%、京都府は民泊利用者が約49%、非利用者が約29%、と民泊利用者の訪問率が圧倒的に高い結果となりました。

反対に北海道や愛知県、沖縄県の訪問率は低く、民泊以外の宿泊施設を利用する旅行者が多くなっています。民泊利用者からの認知度はまだ低い、言い換えれば旅行や民泊のポテンシャルが高いエリアといえるでしょう。

以上の結果からのわかるように、日本への旅行者の約75%を占める中国・韓国・香港・台湾からの旅行者の間での民泊利用はまだまだこれからです。

地方部での民泊の展開も開発途上といえるでしょう。本年12月8日に旅館業法の改正法案が成立し、来年6月から施行される住宅宿泊事業法など法整備も整いつつある中で、「民泊」という宿泊形態は新しいビジネスモデルとしてますます期待されます。

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ