毎週月曜配信「石井くるみの みんぱく!最前線」
名古屋で民泊(旅館業)許可の依頼を受けた、カピバラ好き行政書士 石井くるみさん。今回は名古屋市の民泊開業のためのルールをご紹介します。(リビンマガジンBiz編集部)
名古屋で民泊(旅館業)許可を取得したいとの依頼を受け、お盆明けに出張してきました。
名古屋市は愛知県西部に位置し、東京からも新幹線で2時間かからない距離。
(撮影=石井くるみ行政書士)
観光スポットとして、まず徳川家康の「名古屋城」や「金のしゃちほこ」等が思い浮かびます。その他にも、都心部では再開発が続き、レゴランド等のテーマパークや駅前のKITTEなど歴史とモダンが融合した魅力ある街です。
当然、民泊も盛んなようで、今までも問合せは色々と受けていました。
ところが、名古屋は旅館業のハードルが高く、まだ1件も民泊(既存の住宅などを活用した旅館業施設)で許可を取得した実例がないとのこと。
いったい名古屋の実情はどうなっているのでしょうか?
名古屋の民泊許可の実態を明らかにすべく、気合を入れて臨みました。
保健所や消防との電話やメールを介しての事前協議を進め、物件調査や面談のスケジュールを調整し、いざ、名古屋へ!
当日、東京では小雨が降り8月にしては珍しい涼しさでしたが、名古屋は蒸し暑い曇り空でした。
(撮影=石井くるみ行政書士)
まずは物件調査で建物の概観、各居室、申請する部屋を確認。
事前に図面では把握していましたが、「一見は百聞に如かず」です。
建築基準法関連
通常、民泊(旅館業)化する部分の面積が100㎡を超える場合は、「用途変更の確認申請」の手続きが発生します。ところが、名古屋市では「名古屋市旅館等指導要綱」というルールがあるため、大規模な用途変更や新築の場合は、通常の確認申請に加えて「計画の公開」や「説明会の開催」というステップも踏む必要がでてきます。
これは、実際に手続きするとなると、かなり大変です。
手続きに入る段階で、建築図面などはすべて整える必要があります。さらに、最終的に必要となる「市長の同意」が100%得られる保証はありません。計画公開や説明会の開催にも時間がかかるので、3カ月から半年くらいは時間に余裕を見たほうがよいでしょう。
実は、このような計画段階での説明会などを求めるルールは、名古屋に限らず、けっこうあちこちの自治体に存在します。宿泊施設には、その地域外の人が頻繁に出入りでするため、地域との調和や善良な風俗維持の観点から、慎重な手続きを必要と考えられるためです。
他方、小規模な施設(100㎡を超えない)での旅館業申請については、区の保健所が直接担当窓口となります。今回の依頼はマンションの1室での申請でしたので、「名古屋市旅館等指導要綱」の手続きはスキップ。
(撮影=石井くるみ行政書士)
次回では、いよいよ名古屋の保健所の民泊(旅館業)許可ルールについて解説します。