毎週月曜配信「石井くるみの みんぱく!最前線」
民泊の営業許可申請や運用管理に詳しい、行政書士の石井くるみさんが、毎週民泊の最新情報をお届けします。
6月に成立した「住宅宿泊事業法(民泊新法)」を数回に分けて解説していただきます。
最終回は、「監督・罰則規定」ついての解説です。(リビンマガジンBiz編集部)
民泊新法の徹底解説③「住宅宿泊事業者」
民泊新法の徹底解説④「住宅宿泊管理業者」
民泊新法の徹底解説⑤「住宅宿泊仲介業者」
(画像=写真AC)
くるみ先生:『民泊新法徹底解説』最終回は、住宅宿泊事業にかかわる事業者に対する監督規定を見ていきます。
生徒:法律はルール!ルールは守らないといけないよね。
くるみ先生:住宅宿泊事業にかかわる事業者とは、
・宿泊施設のホストである『住宅宿泊事業者』
・管理を業として営む『住宅宿泊管理業者』
・宿泊施設の仲介を行う『住宅宿泊仲介業者』
を指します。
住宅宿泊事業法は、各事業者を監督する行政庁に、事業者に対する業務改善命令や、業務停止命令・登録の取消し、報告徴収および立入検査といった監督権限を与えています。
生徒:『住宅宿泊事業者』の監督をしているのは、原則として都道府県知事だったよね。
くるみ先生:そうですね。都道府県知事等は、事業の適正運営のために必要と認められるとき、住宅宿泊事業者に対して、業務改善命令を出したり、報告徴求や立入検査などを行うことができます。住宅宿泊事業者が法令や業務改善命令に違反したときは、1年以内業務停止を命ずることもできます(16条1項)。さらに、他の方法により監督の目的を達成することができないときは、住宅宿泊事業の廃止を命ずることもできます。
生徒:『これ以上、営業してはいけません!』って命令できるの!?厳しいなあ…。
くるみ先生:住宅宿泊管理業者に対する包括的な監督権限は、国土交通大臣にあります。ただし。住宅宿泊管理業のうち一部業務については、都道府県知事等にも監督権限があります。
国土交通大臣の監督権限の内容には、業務改善命令、報告徴求、立入検査などがあります。住宅宿泊事業者と同様に登録の取消しや1年以内業務停止を命ずることができます。
生徒:仲介業者についても同じような監督規定があるのかな?
くるみ先生:住宅宿泊仲介業者に対する監督権限は、観光庁長官に付与されています。また、住宅宿泊業者に対する報告徴求、立入検査権限などがあります。国内に拠点を持つ住宅宿泊仲介業者に対しては業務改善を命ずることが、外国に拠点を持つ住宅宿泊仲介業者に対しては業務改善を請求することができます。業務改善命令に違反した等の場合には、登録の取消、業務停止の命令・請求を行うことができます。
生徒:外国住宅宿泊仲介業者には日本の監督権限が及ばない可能性があるからため、「命令」ではなく「請求」となっているんだね。
くるみ先生:届出を行わずに宿泊サービスを行ったり、年間180日を超えて宿泊サービスを提供した住宅宿泊事業者は、6カ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれら懲役及び罰金の併科に処されます(改正旅館業法案より)。
生徒:住宅宿泊事業は、あくまで『民泊』だから、180日の年間日数制限があるし、専業の宿泊ビジネスとして営むには限界がありそうだね。
くるみ先生:そうですね。宿泊事業を営むためには、やはり旅館業の営業許可が必要になりますね。
生徒:新法の民泊について、とっても詳しく勉強できました!
くるみ先生:法律に定められたルールを守って、事業者も、宿泊者も、施設の近隣住民も、みんなが安全・安心に活用できる民泊が広がっていくと良いですね。