毎週月曜配信「石井くるみの みんぱく!最前線」

今回は、風光明媚な観光地「鎌倉」で、民泊を開業したいと相談を受けた行政書士 石井くるみさん。民泊の開業するためには、どこでどういった申請や許可が必要なのでしょうか。鎌倉でのある一日をご紹介します(リビンマガジンBiz編集部)。

1192年、日本初の武家政権「鎌倉幕府」誕生以来、独自の文化を生み出してきた古都・鎌倉には、高徳院鎌倉大仏殿、鶴岡八幡宮をはじめ、由緒ある名所が数多くあります。

また、三方が山に囲まれ、一方に海を臨む鎌倉は、マリンスポーツなどのアクティビティーもさかんで、里山の自然に親しむハイキングを楽しむのにもぴったり。

そんな鎌倉に別荘を所有するオーナー様から、「民泊(ゲストハウス)開業を考えているのですが、旅館業の許可は取れますか?」と相談を受け、調査に行って参りました。

 

鎌倉駅前 (撮影=石井くるみ)

カピバラ好き行政書士は、横浜で生まれ育ち。中学・高校は鎌倉の私立中高一貫校に通っていたので、鎌倉・湘南エリアはなじみのある土地です。懐かしさもあいまって、ウキウキ調査を開始しました。

民泊を開業するために必要な、「旅館業」の申請先は、施設所在地を管轄する保健所です。東京都千代田区で旅館業を始めるのであれば千代田区保健所に、中央区の場合は中央区保健所でそれぞれ手続きを行います。今回は「鎌倉保健福祉事務所」(「保健所」「保健センター」「保健福祉事務所」など名称は異なります)が窓口となります。

また、旅館業の申請には、建物(施設)を宿泊施設の用途として使うこととなるため、建築基準法や消防法上の基準に適合させる手続き(場合によっては工事)も行わなくてはいけません。それぞれの対応窓口が異なるので注意が必要です。

 

鎌倉小町通り入口 (撮影=石井くるみ)

本物件の施設所在地の地域を管轄する鎌倉消防本部は「大船」、鎌倉保健福祉事務所は「由比ガ浜」、鎌倉市役所は鎌倉駅から保健福祉事務所と反対方面の「御成町」にあります。徒歩とも電車ともつかない微妙な間隔で距離が離れているケースには慣れっこです…。

 

鎌倉消防本部 (撮影=石井くるみ)

今回の物件は、「住宅」として建築された木造2階建ての一戸建。住宅は、決まった特定の人が居住するのためのものなので、建築・消防のハードルは低くなっています。しかし、「宿泊施設」という、不特定の人が利用するものに転用するとなると、耐火構造などに厳しい規制が出てきます。今回は、建物全体の規模も小さい(全体で100㎡未満)ため、求められる設備は多くはありません。しかし、自動火災報知設備などを取り付ける必要が出てきます。

また、保健所からは求められるのは旅館業上の施設の構造設備の設置を求められます。宿泊者の対応を行うための玄関帳場(フロント)や、宿泊者が快適に滞在できるように、需要を満たすだけの水回り設備(トイレ・洗面設備・浴室・手洗いなど)も用意する必要があります。「いくつあればよいのか」という具体的な個数については、法律には規定がないので、地域を管轄する自治体が定めています。また宿泊定員制限もあり、客室面積に応じて設定されています。

 

鎌倉保健福祉事務所 (撮影=石井くるみ)

行政窓口が閉庁する17時までにヒアリングを終えました。すっかり日が伸びて17時を過ぎても明るいので、1時間ほど鎌倉駅のまわりを散策しました。

駅から鎌倉八幡宮までに続く「小町通り」は、鎌倉土産や和菓子、スイーツ、ドリンクなどを扱うショップが所狭しと並び、平日にもかかわらず、日本人・外国人観光客で大変賑わっていました。

あじさいが見頃になるこれからの季節は、ますます多くの観光客が訪れると聞き、鎌倉でのゲストハウス開業に期待を膨らませながら帰路につきました。

 
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