毎週月曜配信「石井くるみの みんぱく!最前線」(第1回の今回は火曜日になってしまいましたが)。
この連載では、民泊の営業許可申請や運用管理に詳しい行政書士の石井くるみさんが担当します。法改正やインバウンドのトレンドなど、めまぐるしく変化する民泊市場の最新情報をお届けします。(リビンマガジンBiz編集部)

出展企業(撮影=筆者)

2017年6月1日(木)、第193回国会にて住宅宿泊事業法(民泊新法)が衆議院国本会議で可決され、新法成立がいよいよ現実味を帯びてきました。

これに先立つ5月27日(土)、新宿にて国内最大規模の民泊イベント「バケーションレンタルEXPO」が開催され、会場には、3,000名を超える人々が来場し、大変な盛況を博しました。

本日は、民泊新法スタートも見据え、人々の興味・関心と民泊に対する意欲の高さがうかがわれたイベントの様子をレポートいたします!

企業ブースエリアでは、民泊仲介サイトや民泊運用代行会社、清掃代行会社、不動産会社、スマートロック、民泊IoT、民泊支援アプリなど、民泊に関わる様々な業種の事業者が出展。
私の日本橋くるみ行政書士事務所も、セミナー講演と個別相談として参加しました。

 

普段から民泊の許認可にかかわっているため、出展企業の中には普段から見知っている方もちらほらお見掛けしました。しかし、その中でも特筆すべき点は、海外企業勢の出展の多さです。海外OTA(注:Online Travel Agent=オンライン旅行会社)として有名なExpediaエクスペディアグループの欧米系民泊仲介サイト「HomeAway」をはじめ、シンガポールに本拠を置く「Agoda」、中国系からは「途家」、「自在客」、「住百家」、「小猪」、「AsiaYo」、スマートロックを手がける米国企業の「Candy House」がなど、今後の日本の民泊市場に対して、海外企業が強い期待感を持っている様子がうかがえました。

「民泊」というテーマ1つでこれほど色々なビジネスがあるのか、とびっくり&感心しますね。

 
インド風サリーの衣装のスタッフさんが目を引きます(撮影=筆者)

企業のブース出展だけでなく、用意された3つの会場では、民泊新法の解説から民泊運用ノウハウにまで幅広いテーマで25ものセミナーが同時開催されました。

私も25分という限られた時間ではありましたが、既存建物での民泊(旅館業)許可取得において非常に重要になる「用途変更」について講演を行いました。

民泊(旅館業)の営業許可を取得するためには、旅館業法のハードルだけでなく、建築基準法や消防法のハードルも超えなくてはなりません。
建物は、新しく建てるときに「何のため(用途)に使うか」を決めたうえで設計されます。
[用途変更」とは、建築物が適法にある用途に供された後において、他の用途に変更する場合をいいます(建設省通達S40.5.29)。「住宅やマンション」と「ホテル・旅館」では、そもそもの造りがちがうので、この「用途変更」は難しい場合があることをお話ししました。
 

セミナーの様子 (撮影=筆者)

多くの来場者が聞きに来てくださり、会場は立ち見で人が溢れるばかり。
社会全体で少しずつ民泊に対する認識が広がっているのだと感じました。間もなくスタートする民泊新法を前にして、民泊ホストの関心も「いかに稼働率・利益を上げるか」から、「いかに許可を取得し合法的な形で民泊を運用していくか」に変化しているようです。

私が受ける民泊の相談内容も、以前多かった内容は「所有する家やマンションで民泊の許可をとりたい」とったものでした。しかし最近では、「新築で旅館業を取得できる建物のプラン設計をしてほしい」「民泊に関するコンサルティングをしてほしいという」という、新しく建てることを前提とした依頼や、法令を遵守した中での経営管理という依頼が増えています。

セミナー終了後も個別相談ブースにひっきりなしに相談者が来てくださいました。
わざわざ会いに来てくださった友人知人・クライアント様も多く、慌ただしくも、とても充実した楽しい1日となりました。

民泊やバケーションレンタルに関わる事業者が国内外から集結した今回のイベント。
本イベントの主催者メトロエンジン株式会社と株式会社オックスコンサルティングによると、第2回目のバケーションレンタルEXPOは、来年2018年3月に第2回の開催予定とのこと。

次回までには新法もスタートし、民泊をめぐる様子もガラリと変わっているかもしれません!!私も含めて、次回までに参加企業各社がどのように変化・成長を遂げているのか楽しみです。

 
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