よく“不動産の売却は、不動産投資の出口”と言われますが、いかにスピーディに希望値での売却が成就するかは、“ユーザーのニーズに適った物件づくり”が鍵となります。
特に、投資物件の売却により資金を回収するには、物件稼働中のオーナーチェンジつまり入居者の有無が重要な決め手となる場合もあるでしょう。
そこで今回は、区分1R1Kマンションについて、物件が安定した稼働状態を保つためには“入居者目線で今何が求められているか”というテーマを、長らく区分専門に投資してきた方達から伺った経験談をもとに考えてみたいと思います。
通常誰しもが検討する、家賃、立地(エリア、駅からの距離・周辺環境)、築年数、間取り、日当たり、その他設備……といった一般的な物件の属性はもちろん、近年の入居希望者の多くが“特にココは外せない”とこだわるのはどんな点か。
①周辺環境
立地は物件選択の基本中の基本ですが、その中でも周囲の環境を重視される方は多いようです。特に21時以降の通行は女性だけでなく男性も心理的な恐怖を感じる場合があることから“夜間、周囲がどれだけ光に照らされているエリアか”という視点は大切にしたいところです。
この意味で、川沿いに建ち並ぶ暗い立地や生垣や植込みによる死角が多い立地等は避け、太目の道路沿いや狭目でも明るい通路を経由する立地が望ましいといえます。
②日当たり
最近の一人暮らしでは、コインランドリーの乾燥機や浴室乾燥機を使用する方も増え、若い方で日当たりを重視される方は以前ほど多くないようです。
ただ、朝、採光面のカーテンを開けた時に“目に陽の光が飛び込んでくるか”というのは、現代の生活様式でも、人のその日の活力を高めるという点で大切といえるでしょう。
この意味で日当たりの良し悪しに妥協はできても、こだわりは残したいところです。
③間取り
間取りも含め、居住スペースの広さは重要なポイントです。
バブル期を経て、現代の1R1Kの区分マンションは20㎡以上の広さがスタンダードになってきているようですが、20㎡と25㎡では開放感が断然異なりますし、満足度にも大きな差が生じます。この点から、同じ1R1Kでも可能な限りより広めの部屋を探してみたいところです。
④設備
まず、室内洗濯機置場は外せないポイントと考える方は多いようです。これがない部屋で玄関を入った狭い通路を洗濯機がドーンと占拠する、という悲劇もよく耳にします。
次にバス・トイレ別というのも、近年建設された物件では重要なポイントです。一人の生活が基本の方でもトイレとバスや洗面台等は用途が異なることから、これらが分かれることで使いやすさはもちろん、気分も大きく変わってくるからです。この点で両者を別と謳いながら構造上バスルームに行くためにトイレを通過する、というバブル期に多かった3点ユニットとさほど変わりないタイプも散見されることから注意が必要です。
さらに、キッチンの設備とりわけシンクの広さは、一人暮らしの生活においても重要な要素です。最近では男性でも料理をする方が増えている上にそもそもシンクが狭ければ調理以前に何もできない、と考える方は数多いようです。
以上にみてきた以外でも入居希望者の方の多くが外せないと考えているポイントは様々あるかと思います。
結局のところ不動産は買うも借りるも、“こんな部屋なら住んでみたい”と思ってもらえるような視線を意識した物件づくりが大切なのです。
将来、中古1R1Kの売却を行う際の価格がどのくらいになるか気になるという方は、この意味でも、将来的にも需要の高いと見込める物件を慎重に選んで購入することが大切なのは言うまでもありません。