損益分岐点のチェックポイント
 
 損益分岐点を求めるためには、いくつかの要素となる数値を把握することが不可欠であり、これらがいわばチェックポイントになるといって良いでしょう。
 個別にみると、不動産取得価格、売却価格はもちろんのこと、自己資金(比率)、ローン金額、期間、金利、利回り、諸経費、家賃、税率等の要素を踏まえた収支計算を行うことになります。
 具体例で示せば、自己資金500万円ローン1500万円(金利1.5%、30年)で、2000万円の不動産(表面利回り10%)の物件を購入し、5年後に同物件を3000万円で売却し、その間総額○○円の諸経費を負担し、○○円の家賃収入があった、というような物件シナリオを完成させ、その中から要素となる数値を抜き取っていくわけです。

  

損益分岐点の計算方法

 

 ここでは差し引きゼロという感覚に一番馴染みやすい考え方を紹介すると、上の例で5年後に売却した金額の中から借入残金の返済をし、全ての諸経費を精算し税金支払い分を取り分けた結果、最初に投入した資金とぴったり同額の500万円手元に残るという現象になるとすれば、この地点よりプラスは利益でマイナスは損失という分岐点が定まるといえるでしょう。
 損益分岐点の考え方は様々あるかと思われますが、概ねこのような理解がスタンダートなものとして受け入れられているようです。

 なお、ここで注意すべきなのは、家賃収入をキャッシュフローとして積み立てて置かず、例えば上の例で精算すべき金額のうち300万円を生活費に費消してしまったという場合です。
 この場合でも損益分岐点の計算の際には、費やした300万円は実際に存在する金額としてカウントする必要があります。なぜなら、この金額は不動産を通じて実際に手にした収入自体に他ならず費消の事実は単に結果ということに過ぎないからです。

損益分岐点を見極める思考

 以上のように、損気分岐点を見極められるようになることで、不動産投資の入口である物件購入の段階からこのポイントを意識した思考で入ることができます。
 具体的には、“今この不動産をこの金額で買って何%で回し、例えばいくらで売却できれば収支トントンになるか”という視点が備わることで、購入後に生じうるあらゆる現象を想定し“損をしないシミュレーション”ができるようになるのです。

 このように考えると、不動産投資は不動産という客観的な財産を対象になされるものですが、こうして投資活動を通じて身に付いたお金に対する思考は、投資家の入手できるいわば主観的な財産といっても良いのかもしれません。

 
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