マイホーム新築のローンが軽減!?

 

 数年前、懇意にしている不動産コンサルタントの方からいただいた提案の一つに“賃貸併用住宅の建築”というものがありました。当時、仕組みが分からずあれこれ調べたりもしたのですが、最も衝撃を受けた点は、何といっても“マイホームを新築したのにローンを減らせる”という内容でした。

 この賃貸併用住宅という仕組みは、現在に至るまで新しいローン商品や新築の提案も活発になされ多くの需要があることからも分かるように、以下に述べる様々なメリットが満載された非常に優れたシステムといえます。
 ただ、賃貸併用という点で事業的な要素も伴うことから、これまで不動産賃貸や投資という分野に無縁だった方にはいくつか留意すべき点もあり、それなりの心構えも必要になってくるかと思います。

 そこで本稿では、この賃貸併用住宅の利点を明らかにしながら、“同システムと自らのライフプランをいかに調和させるか”のテーマで考えていきたいと思います。

    


○○に住みたいが…返済額が…という悩みを解決する一石二鳥

 

 賃貸併用住宅は、一般に自己の居住部分の面積が全体の床面積の半分以上である場合に、長期・低金利である住宅ローンを利用して取得できる、という所に最大の利点があります。  
 この住宅ローンの月々の返済額に賃貸部分から得られる賃料を充当することにより、冒頭の新築マイホームのローン軽減という効果を導くのです。この仕組みは賃貸事業におけるアパートローンが比較的短期でやや高めの金利設定であることから考えるとかなり有利な効果といえます。

 賃貸併用住宅を新築するという例でみると、一方で長期・低金利で新築マイホームを手に入れながらも、他方で賃貸収入によりローン返済額を軽減するという、いわば“一石二鳥を実現する”ということができます。
 また、低金利や賃料収入でローンの軽減が図れるということは、その分だけ希望の立地に手が届きやすく、人気の街を検討対象に加えることも可能になってきます。

さらなる節税効果の追い風

 

 一般に、賃貸併用住宅を住宅ローンにより取得することで、税務上も様々なメリットがあると言われていますが、その一つがまず、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)という所得税上の優遇措置を受けることによる節税効果の点です。
 次に、住宅用地の特例としてその賃貸併用住宅上の世帯数に応じて(1戸あたり50㎡以上の床面積が必要)課税評価額を軽減させるという固定資産税上の特例による節税効果も見込めます。
 さらに、敷地に賃貸住宅が建っていることにより、敷地や建物につき相続税課税評価額を一定割合で軽減させることができるという相続税上の節税効果が生じる場合もあります。
 こうした住宅取得という効果に加えて賃貸住宅でもあるという評価から生じる様々な節税効果は、先の住宅ローンの利用による取得し易さに加えて取得後の返済に対しても追い風となる…というように、ここでも一石二鳥の結果を実現させているわけです。

 ただ、このような種々のメリットを踏まえても、賃貸併用住宅が“あくまで賃貸事業も組み込んだシステム”であることから来る制約もないとはいい切れません。
 そこで、次稿では、賃貸併用住宅を取得する際の留意点を中心に、同システムを有効利用するための備えを物心両面から検討していきたいと思います。

 

 
  • line
  • facebook
  • twitter
  • line
  • facebook
  • twitter

本サイトに掲載されているコンテンツ (記事・広告・デザイン等)に関する著作権は当社に帰属しており、他のホームページ・ブログ等に無断で転載・転用することを禁止します。引用する場合は、リンクを貼る等して当サイトからの引用であることを明らかにしてください。なお、当サイトへのリンクを貼ることは自由です。ご連絡の必要もありません。

このコラムニストのコラム

このコラムニストのコラム一覧へ